レポート
補強はデゼルビの目線で決まった
新体制での開幕を控え、スパーズを取り巻く空気には例年以上の高揚感が漂う。ロベルト・デゼルビが率いる新時代への期待が、この夏を通じて膨らみ続けてきたためだ。
今夏の補強は序盤から一気に進み、サンドロ・トナーリ、マテウス・フェルナンデス、ヤン・ポール・ファンヘッケの3人は7月最初の週までに加入を終えていた。さらにアンディ・ロバートソン、マルコス・セネシ、マルティン・ドゥブラフカがフリー移籍で加わり、ヨーロッパ勢との争いを見据えた声も強まっている。
デゼルビは今回の補強一つひとつに深く関与し、フェルナンデスの落ち着いたプレー、ファンヘッケのライン間を破るパス、ロバートソンの統率力など、獲得した各選手が担う役割が明確になっていると原文は伝えている。マンチェスター・シティのサヴィーニョとオマル・マーモウシュも、攻撃陣の補強として加入が見込まれている。
「フライトが原因か分からない」──ファンデフェンの離脱理由
補強面での積極性とは対照的に、負傷者対応の面でデゼルビは慎重な姿勢を崩していない。新キャプテンに指名されたミッキー・ファンデフェンと、副キャプテンのペドロ・ポロは、ともにブレントフォード戦を欠場する。両者ともワールドカップからの復帰が遅れていた。
デゼルビは金曜日の試合前会見で、ファンデフェンの状態についてこう説明した。
「オーストラリアでのプレシーズン遠征中に問題が生じた。フライトが原因か分からないが、大きな問題ではない。セネシとベン・デイヴィスがいるし、彼らはこの試合に出られる状態にある」
ポロは、スペイン代表としてワールドカップで優勝した後、練習に復帰したばかりだという。
ブレントフォードの本気度、サンガレが照準を合わせる新戦力
2季連続の17位フィニッシュを経て、教訓が生かされているとみられるが、証明の場はあくまでピッチ上になる。サヴィーニョとマーモウシュはまだ登録が完了しておらず、週末を迎える攻撃陣は依然として手薄だと原文は指摘する。
迎え撃つブレントフォードもヨーロッパ参戦を目指すクラブであり、先月のポルトガルでの集中トレーニングキャンプを経て、フィジカル面の準備は整っているという。キース・アンドリュース率いるブレントフォードには、クラブ史上最高額で加入したママドゥ・サンガレという逸材がおり、スパーズが投じた1億8,500万ポンド相当の新戦力とぶつかることを心待ちにしていると原文は伝える。プレミアリーグでの直近5回の対戦で、スパーズが勝てたのはわずか1回にとどまる。
記事解説
デゼルビが夏に見せた補強面での積極性と、負傷者対応における慎重さのコントラストは興味深い。ファンデフェンの負傷理由について「フライトが原因か分からない」と歯切れの悪い説明をした背景には、3月末の就任時に引き継いだ負傷者リストの多さがあったとみてよい。デゼルビは就任直後にチームの怪我人の多さに悩まされた経験があり、無理に主将を起用せず、セネシとデイヴィスという代替案を明確に示した対応は、その反省を踏まえた判断だと解釈できる。
一方で、記事が伝える「補強はデゼルビの目線で決まった」という構図は、選手掌握という第一関門をクリアしたデゼルビが、次に戦術浸透という難関に挑む段階に入ったことを意味する。指揮官交代直後は個々の信頼関係構築が優先されるが、開幕を迎えた今、複雑な戦術をいかに早く落とし込めるかが問われる。サヴィーニョとマーモウシュの登録が間に合わず、開幕戦の攻撃陣が手薄なまま初戦を迎えるのは、早期に済ませた中盤補強と対照的だ。中盤の骨格構築を優先し、攻撃陣の上乗せは移籍期限ぎりぎりまで粘るという編成方針だとすれば、開幕直後の出来栄えよりも、9月以降の仕上がりを重視した長期的な設計とも読み取れる。
ブレントフォード自身もポルトガルでの合宿を経て仕上がっており、ヨーロッパ参戦を狙う勢いのあるクラブとの初戦は、平均的な開幕相手よりも手強い部類に入る。過去5回の対戦でスパーズが1勝にとどまっている事実も踏まえると、デゼルビが掲げる「新たな夜明け」という理想を証明する舞台としては、決して易しい入り口ではない。

