レポート
プレミアリーグ開幕まで秒読みとなった。スパーズは土曜17時30分(現地時間)、ジーテック・コミュニティ・スタジアムでブレントフォードとの開幕戦に臨む。スパーズ公式サイトは恒例の対戦相手紹介企画「What can you tell us about…?」で、ブレントフォードの戦術・データ・育成事情を扱うSubstack「Bees Tactical」を運営するデイビッド・アンダーソン氏に話を聞いた。
これ以上ないほど順調だったプレシーズン
アンダーソン氏によれば、ブレントフォードのプレシーズンはほぼ理想的な形で終えたという。無敗のまま多くのゴールを重ね、ファンの前で行われた最終戦ではアイントラハト・フランクフルトを7-0と下している。
サンガレが埋めた”欠けていたピース”
今夏最大の補強と位置づけられているのが、マリ代表の新加入センターMFマモドゥ・サンガレである。アンダーソン氏は、これまでのブレントフォードには様々な持ち味を持つMFが在籍してきたが、いずれも守備の強度や運動量、パスの精度のどれかに弱点を抱え、誰かがそれを補う必要があったと説明する。サンガレはその全てを高い水準でこなせる、まさに待ち望んでいたボックス・トゥ・ボックスの万能型MFだと評価した。
目標は9位越え、ヨーロッパの舞台へ
ブレントフォードは昨シーズン最終節でヨーロッパリーグ出場権を逃し、9位でシーズンを終えている。アンダーソン氏は、ファンの多くが今シーズンはその順位を上回り、ヨーロッパの舞台を狙えると信じていると述べ、新戦力への期待の高さをうかがわせた。
デュフ招聘は「最高の補強か、最悪の補強か」
アシスタントコーチとして新たに加わったデーミアン・ダフについて、アンダーソン氏は「ブレントフォードにとって今夏最高の補強になるか、最悪の補強になるかのどちらかだ」との見立てを示した。クラブにはすでにアイルランド出身の人材が多く在籍しており、その傾向がさらに強まる形となる。過去にクラブがスタッフ人選で大きく外したことは少ないとしたうえで、今シーズンは昨シーズンと比べてより多くのボールを保持し、セットプレーの巡り合わせにも恵まれることを期待していると結んだ。
記事解説
今回の情報源であるBees Tacticalは、ブレントフォードの戦術・データ・育成事情を専門に扱う独立系のファンブログである。移籍情報の一次発信力を持つ記者・媒体とは性格が異なり、あくまで現地ファンの温度感・戦術的な肌感覚を伝える立場の情報源と捉えるべきだろう。とはいえ、開幕直前の相手陣営の空気を知るうえでは、公式サイト自らがこの視点を選んで掲載した意味は小さくない。
注目すべきはサンガレの評価である。「守備・運動量・パスのいずれかに弱点を抱えていた」という表現は、裏を返せばブレントフォードの中盤がこれまで質・量ともにスパーズにとって組みやすい相手だったことを示唆する。そこにボックス・トゥ・ボックスで穴のないMFが加われば、開幕戦のミドルサードでの主導権争いは従来より厳しいものになる可能性がある。
一方でスパーズ側は、ポロとファンデフェンが開幕戦を欠くとみられる状況にある。守備陣を再編せざるを得ないタイミングで、不敗プレシーズンかつ中盤を強化した勢いのあるブレントフォードと当たるのは、デゼルビにとって決して軽くない試金石となりそうだ。
デュフの評価が「吉とも凶とも出る」という両論併記になっている点も興味深い。セットプレーでの巡り合わせへの言及は、ブレントフォードが伝統的にセットプレーを得点源として重視してきたクラブ文化と地続きであり、指導スタッフが入れ替わってもチームの強みの方向性自体は継続する可能性を示している。

