レポート
キャプテンを任されたアーチー・グレイの安定感
プレシーズンを通じて、最も安定した存在感を示した一人がアーチー・グレイだ。チェルシー戦では前半途中に一人退場となる苦しい展開の中、途中交代することなく90分をフル出場したフィールドプレーヤーは彼だけだった。デゼルビ監督から5試合でキャプテンの腕章を託されながらも、重責に動じる様子を一切見せなかった点が高く評価されている。まだ20歳の若さながら、開幕後も継続的な出場機会を得られる立ち位置を固めつつある。
キンスキーとウィリアムズ=バーネットが見せた”新戦力”
アントニン・キンスキーは、シドニーでのチェルシー戦での好セーブを筆頭に、守護神としての地位をさらに固める内容を見せた。前シーズン終盤の残留争いで見せた活躍から続く”再生の物語”は、このプレシーズンでも継続している格好だ。一方、17歳の期待の若手ルーカ・ウィリアムズ=バーネットは、MKドンズ戦とオークランド戦で持ち味の技術とスピードを発揮し、トップチームでの起用に値する存在であることを印象づけた。守備での状況判断にはまだ粗さが残るとされるが、今後の成長が楽しみな存在だ。
テルとベリヴァルが見せた新たな一面
手薄な攻撃陣の中で、プレシーズン最優秀候補との呼び声もあるのがマティス・テルだ。特にオーストラリア・ニュージーランド遠征では、チーム随一のゴール脅威であり続けた。新たな攻撃陣の補強がないまま開幕を迎える公算が大きく、開幕節ではテルが先発の軸になるとみられる。また、ルーカス・ベリヴァルもコンスタントな出場機会と好パフォーマンスを重ね、デゼルビが中長期的な構想の中に彼を据えている可能性がうかがえた。デゼルビ好みの中盤像とはやや異なるとの懸念は残るものの、ファーストタッチや状況判断には明確な向上が見られたという。
深刻な”出場ゼロ”組──ファンデフェン、ウドギ、ソランケ、クドゥス
一方で、プレシーズンで目立ったのは「出場機会をほとんど得られなかった」選手たちだ。ミッキー・ファンデフェンはヤン・ポール・ファンヘッケと同時にチームに合流したが、軽度の負傷管理を理由にプレシーズンで一分も出場していない。ブレントフォード戦への出場も不透明とされる。ウドギも、イタリア代表がW杯出場権を逃した影響で早期に合流していたにもかかわらず、出場時間はごくわずかにとどまり、同じく開幕戦は微妙な状況だ。ドミニク・ソランケはMKドンズ戦とチェルシー戦でそれぞれ45分ずつ出場したのみで、その後は足首の負傷再発が疑われ音沙汰がない。結果として、スパーズは開幕節を故障歴の多いリシャルリソンひとりを頼みの綱として迎える可能性がある。モハメド・クドゥスは25/26シーズン序盤の躍動から一転、シーズン後半の半分近くを負傷離脱し、デゼルビ就任直後にも再負傷。トレーニング復帰の映像は公開されたものの、復帰ペースは当初の想定より遅れており、開幕時点でまともに稼働できる純粋な攻撃的タレントがほぼいない状況になりつつある。
記事解説
この記事はライター陣によるオピニオン形式の総括であり、個々の評価には書き手の主観が色濃く反映されている点は差し引いて読む必要がある。ただし、ファンデフェン、ウドギ、ソランケ、クドゥスの出場機会の乏しさそのものは、これまで当サイトで伝えてきた負傷者情報とも整合しており、単発の見立てではなく複数の情報源で裏付けられた事実と言える。
注目したいのは、この記事が「新しいアタッカーの補強がまだない」ことを開幕直前の懸念材料として明言している点だ。ソランケが不安定、クドゥスの復帰も遅れている状況で、開幕節の実質的な得点源はテルとリシャルリソンの2人に絞られかねない。仮にこの記事の公開後に新戦力の合流が発表されれば、その補強の緊急性を裏付ける材料としてこの記事が振り返られることになるだろう。またベリヴァルについては、退団の噂が根強い中でのこの前向きな評価は、デゼルビが構想の変更を検討している可能性を示唆しており、今後の出場機会の推移を注視したい。

