レポート
ベティスがローンの可能性を検討
スパーズは、移籍市場閉幕までにテルの処遇を巡って決断を迫られる可能性がある。レアル・ベティスがこのフランス人選手をリストに入れており、ローンでの獲得が一つの選択肢として浮上しているという。この情報は、ベティスがさらなるFW獲得を模索していることを伝えたEl Correo de Andalucía発。同紙によれば、サンティアゴ・ヒメネス、アルノー・カリムエンドが現在候補リストの上位に位置しており、テルはそれより下位に置かれているが、スパーズ絡みという興味深い側面があるという。
テルは以前からベティスの候補に挙がっていた選手であり、マヌエル・ペジェグリーニ監督率いるチームにとって、依然として選択肢の一つとなっている。El Correoは、ベティスがローンでの獲得についてスパーズに打診する可能性があると伝えている。
欧州カップ戦なしが”追い風”に
ベティス側は、スパーズが今季欧州カップ戦への出場権を持たないことが、交渉において一つの材料になり得ると見ている。一時的な移籍であれば、テルは定期的な出場機会を得られ、市場価値を高められる可能性がある。ベティスはまた、この21歳がペジェグリーニ監督のもとで多くの出場時間を得られる可能性が高いとも考えている。現段階でオファーや本格的な交渉が進んでいるわけではなく、実際、テルはベティスが検討している候補の中でも、より難易度の高い部類に位置付けられているという。
スパーズは”手放す余裕なし”
それでも、テルのスパーズでの現状を踏まえると、この打診は検討に値する。昨シーズンの大半で定期的に先発を果たし、今夏のプレシーズンでも数多く起用されてきたが、これはスパーズの攻撃陣における負傷者続出が大きく影響している結果でもある。豊富な出場機会を得ているにもかかわらず、テルは絶対的なレギュラーとまでは見なされておらず、もしスパーズが移籍市場終盤にさらなる攻撃陣の補強を実現すれば、後半戦にローン移籍という選択肢が現実味を帯びる可能性もある。ベティスでの定期的な出場機会には、確かな魅力があるだろう。プレミアリーグ2025/26シーズンの成績は、31試合出場(先発13)、平均出場時間44分、通算1,358分、4ゴール1アシストとなっている。ただし現時点では、スパーズにこの選手を手放す余裕は実質的にない。テルはここ数週間、ガラタサライやポルトとの関連も報じられていたが、こちらも具体的な進展はまったく見られていない。負傷問題により、テルは現在、シニアレベルで稼働できる数少ない攻撃的選手の一人になっている。補強が実現するまでは、彼を他クラブへ送り出せば、スパーズの攻撃陣はさらに手薄になってしまう。
記事解説
この記事が示すのは、テルの去就がスパーズ自身の補強状況に完全に依存しているという構図だ。別に紹介したサヴィーニョ、ガクポ、オシムヘン、ミカウタゼ、エンドリッキといった攻撃陣の獲得候補との関連を踏まえると、これらの補強が実現するかどうかが、テルのローン移籍の是非を左右する最大の要因になる。
今回のベティスの動き方は、移籍市場における一つの型を体現している。相手クラブや選手個人の状況を見極め、隙が生まれたところに狙いを定めて優れた選手を安く獲得する。これはまさにスポーティングディレクターの真骨頂と言える手法だ。状況が噛み合えば、実力者を割安な条件で引き抜ける可能性がある。実は、スパーズ自身もかつてこうした機会主義的な補強の恩恵を受けた経験がある。
昨シーズン、PSGからユベントス復帰前のコロ・ムアニを、バイエルンからパリーニャをそれぞれローンで獲得したケースは、まさに強豪クラブの余剰戦力を有利な条件で一時的に確保した好例だった。以前紹介した通り、コロ・ムアニ自身は結果には結びつかなかったと振り返っているが、獲得の構造自体は、今回のベティスとテルのケースと同種のものだったと言える。
一方、今夏のスパーズのアプローチは、これとは対照的だ。「デゼルビが欲しい選手を獲る」というスタンスを貫いており、これは相手クラブ、選手側の事情がたまたま噛み合った場合には迅速に決着する(トナーリ、フェルナンデス、ファンヘッケがその好例だ)が、噛み合わない場合には大いに苦戦することになる。サヴィーニョ、ガクポ、クルピを巡る一連の交渉の長期化は、まさにこの構造的な難しさを物語っている。
ベティスのようなアプローチとは正反対の、本命一点集中型の戦略であるがゆえに、テルのような一部の若手、準主力選手が、こうした他クラブの機会主義的な打診を受ける立場に置かれることにもなる。今夏のスパーズが本命一点集中型に傾いている以上、パリーニャやコロ・ムアニのような機会主義的なローン補強という選択肢を、今後どこまで活用していくかも注目に値する。

