レポート
「よく口論した」ブライトン時代
football.londonのアラスデア・ゴールド記者の単独取材に応じたヤン・ポール・ファンヘッケは、ブライトン時代にロベルト・デゼルビとしょっちゅう言い争っていたことを明かした。26歳のオランダ人DFは今夏、デゼルビが「息子」と呼ぶほど信頼する選手として5,200万ポンドでブライトンから加入している。デゼルビはファンヘッケの成長に多くの労力を注ぎ、南海岸でともに過ごした初期には、この率直な物言いをするDFと衝突しながらも、プレミアリーグ、そして今やワールドカップの舞台に立つ選手へと押し上げてきた。
デゼルビはかつて「JP(ファンヘッケ)の最も重要な資質は、傲慢さと自信のバランスだ。彼は傲慢ではないが、自分への自信は非常に高い」と語ったことがある。
一方のファンヘッケは、今では2人でその当時のことを冗談交じりに振り返っていると認めている。
「最初はよく言い争っていたよ。監督のプレースタイルに慣れる必要があったからね。時には物事について口論することもあるが、それはフットボールにおいて良いことだと思う。結局、監督は最善を望み、選手も最善を望んでいる。そうやって互いを次のレベルへ押し上げ合うんだ」
加入前の”罵り言葉のメッセージ”の真相
デゼルビがブライトンを離れた2024年以降も、2人は親密な関係を保ち続けた。今回のインタビューでは、先日報じられたデゼルビによる”罵り言葉入りのメッセージ”の詳細も明らかになった。4月、ファンヘッケがブライトン時代、トッテナム・ホットスパー・スタジアムでジョルジニオ・リュテールへのアシストを記録し、土壇場でブライトンの同点弾を演出した場面について、デゼルビはファンヘッケに率直なメッセージを送っていたという。
「エヴァートン戦(最終節)の後、私は『くたばれ(F*ck off)、ブライトンのためにアシストしてトッテナムを降格させようとしたお前は、今度は俺のところに来なきゃいけない。イエスかイエスだ、選択肢はない!』というメッセージを送った」とデゼルビ自身が認めている。
「試合直後、スタジアムの自分のオフィスで、まず娘に、それからJPにメッセージを送ったんだ」
ファンヘッケはこの思い出に笑いながら振り返る。
「試合後に会ったんだよ。スパーズは勝ち点が必要だったが、僕らも同じだった。2-2に追いついた時は本当に嬉しかった。もちろんスパーズとデゼルビにとっては嬉しくなかっただろうけどね!面白い話だよ。後で話して笑い合ったんだ」
ファンデフェンとのコンビ復活へ
ファンヘッケにとって、クラブ内のもう一人の馴染みの顔は、オランダ代表の同僚ミッキー・ファンデフェンだった。
「ミッキーとは本当に仲がいいんだ。移籍が決まる前から、いつもフットボールの話や、お互いのクラブの話をしていた」
「彼はすぐにここが素晴らしいクラブだと教えてくれていた」
ファンデフェンが代表では左サイドバックを務め、W杯ではリバプールのヴィルジル・ファンダイクが2人の間に入る布陣だったのに対し、スパーズでは古い相棒関係が復活することになる。
「何年も前、U21オランダ代表時代にコンビを組んでいたんだ。2人でセンターバックのコンビを組んでいた。これからできるだけ多くの試合を一緒にプレーして、良いコンビになれたらと思っているよ」
リーダーとしての自覚
デゼルビは、ファンヘッケがピッチ上でもドレッシングルームでも主導的な声になることを期待しているという。
「加入の際にその話をした。ここでは4~5シーズンプレーしてきたから、プレミアリーグが何を求めるかは分かっている。本当にタフなリーグで、簡単な試合は一つもない」
「ブライトンでその感覚を身につけた。もちろんリーダーシップの資質は元々あったが、最初の年からすぐにというわけではなく、ここ数年、毎試合出場して高いレベルでプレーする中で、チームメイトを助けようとするようになった」
デゼルビ・ボールへの期待
昨シーズン終盤にわずかに垣間見えた”簡易版”のデゼルビ・ボールを踏まえ、ファンヘッケは今シーズンへの期待をこう語った。
「攻撃的なスタイルのフットボールだ。相手を支配しようとプレーし、後方からビルドアップして、多くのゴールを狙う。監督のチームは多くの得点を挙げてきた。見ていて面白いフットボールだよ」
記事解説
今回のインタビューが浮き彫りにするのは、単なる契約上の関係を超えた、デゼルビとファンヘッケの深い信頼関係だ。ブライトン時代の衝突は、単なる対立ではなく、選手を次のレベルへ押し上げるためのまさしく”切磋琢磨(せっさたくま)”だったことがうかがえる。この関係性の深さこそが、今夏5,200万ポンドという移籍金を投じてでも、デゼルビが彼の獲得を強く推した理由だろう。
“罵り言葉のメッセージ”のエピソードも興味深い。単なる冗談として片付けるにはやや過激な内容だが、両者ともこれを笑い話として振り返っている点は、信頼関係の強さと、デゼルビの人間味あふれるコミュニケーションスタイルを物語っている。以前報じたファンヘッケ引き抜きの裏話(罵り言葉での口説き)とも一貫した、デゼルビの”荒っぽくも情熱的な”マネジメントスタイルが、ここでも確認できる。
ファンデフェンとのU21オランダ代表時代のコンビ復活という要素も、単なる懐かしさ以上の戦術的な意味を持つ。すでに培われた連携の土台がある2人がセンターバックを組むことは、今夏大量に選手が入れ替わったスパーズの守備陣にとって、貴重な安定要素になり得る。
ファンヘッケへの期待の大きさを踏まえると、将来的なキャプテン就任も視野に入ってくる。ロメロの退団が現実味を帯びる中、次期キャプテン候補は複数考えられる。昨シーズン副キャプテンを務めたファンデフェンは最有力候補の一人であり、W杯で”世界最高の右サイドバック”と証明したペドロ・ポロも、昨シーズン最も安定したパフォーマンスを見せた選手として名前が挙がる。イングランド人であるジェームズ・マディソンは、ファンへのポジティブな発信力という点で強みを持ち、アーチー・グレイもまだ若いながら、W杯組不在のプレシーズンでキャプテンを任された実績があり、将来的なキャプテン候補と目されている。こうした顔ぶれを踏まえれば、ファンヘッケが単独で次期キャプテンに就く可能性だけでなく、ファンデフェンがキャプテンに就き、複数の副キャプテンの一人としてファンヘッケが名を連ねるという形も十分に考えられる。デゼルビが彼に寄せる信頼の厚さを見る限り、いずれの形であれ、リーダーシップグループの中核を担う存在になっていくことはほぼ間違いないだろう。

