レポート
W杯後の”リバプール熱”
今夏、スパーズはジェド・スペンスに4,500万ドル規模の評価額を設定しているとされる。ワールドカップでの活躍を受けての水準だ。イングランド代表のトーマス・トゥヘル監督が、リバプールの元副キャプテンであるトレント・アレクサンダー=アーノルドを外し、代わりにスペンスをW杯メンバーに選出したことは当時大きな驚きをもって受け止められた。しかしその判断は正しかったと証明されることになる。スペンスはイングランド代表として複数の好パフォーマンスを見せ、チームをベスト4に導いた。それ以降、スペンスの将来を巡る憶測が広がっており、その一つとしてリバプールとの関連も報じられている。
“現実”はインテルのみが本気
しかし、移籍情報に精通するジャンルカ・ディマルツィオによれば、真剣に関心を示している唯一のクラブはインテル・ミランだという。同氏はWettfreunde.netに対し、次のように語っている。
「奇妙な状況だ。ワールドカップ以前、スパーズがジェド・スペンスを売りたがっていたかどうかは分からない。ただ、将来的なオファーの可能性については耳を傾ける姿勢はあった。当時の価格は2,500万ユーロ、プラス500万ユーロのボーナスで、合計3,000万ユーロ程度だった」
W杯効果で評価額はむしろ高騰
続けてディ・マルツィオはこう説明している。
「W杯の期間中、そしてその後、彼を欲しがったクラブが1つあった。それがインテル・ミランだ。インテルはその価格での獲得に動いたが、スパーズや関係者との交渉が始まって以降、価格は本当に高くなってしまった。4,000万ユーロを超えると見ている。デゼルビ監督自身も、スペンスを手放すべきかどうか確信が持てていない。彼が『スペンスは出ていかなければならない』と明言したことは一度もないからだ。だから、スペンスが退団する可能性はあると思うが、当初の価格での実現はないだろう」
記事解説
この記事の本質的な価値は、「リバプール移籍」という華やかな見出しの裏にある地味な現実を伝えている点だ。X等のアグリゲーターアカウントでは「リバプールが本気」「本人も乗り気」といった威勢の良い見出しが並びがちだが、移籍市場に精通した専門家の見立てでは、実際に交渉のテーブルについているのはインテル・ミランだけだという。リバプールの関心自体は事実として報じられているが、それが「本格的な争奪戦」の域に達しているかどうかは、また別の話だ。
W杯での活躍が評価額を押し上げたという構図も興味深い。通常、こうした”一発の活躍”による評価額の急騰は、移籍市場ではリスクを伴う判断とされることが多いが、今回はスパーズ側にとって有利に働いている。当初3,000万ユーロだった水準が、わずか数週間で4,000万ユーロ超まで跳ね上がったことは、W杯という舞台の影響力の大きさを物語っている。
デゼルビ監督自身が放出に確信を持てていないという指摘も見逃せない。単なる交渉戦術としての強気姿勢ではなく、指揮官本人がスペンスの価値を再評価している可能性を示唆している。今夏すでに大型補強を進めてきたスパーズにとって、放出リストにあった選手が”手放したくない戦力”に変わりつつあるとすれば、今後の交渉はより慎重に進む可能性が高い。

