レポート
イタリア人記者「スパーズは全力」
イタリア人ジャーナリストのダミアーノ・エル・ファイナ氏によれば、スパーズはガラタサライのFWヴィクター・オシムヘン獲得に向けて”全ぶっぱ(all in)”の姿勢を見せているという。先週、スパーズがオシムヘンへ5,000万ポンドのオファーを提示したとの報道が伝えられていた。このオファーがガラタサライを納得させるのに十分かどうかは不明だが、交渉は動き出しているとみられる。同氏は、クラブの主要な意思決定者たちが、この移籍を実現させるためならどんな手段も辞さない構えだと伝えている。
27歳でトルコでも実績十分
オシムヘンは2025/26シーズン、トルコでも実りあるシーズンを送った。全コンペティション33試合で22ゴール6アシストを記録している。毎シーズン安定して結果を残す能力を持ちながらも、これまで欧州5大リーグの有力クラブから、彼が求める高額な待遇を提示されての大型移籍を実現できずにきた。今回、ついにその大型移籍が実現に近づいている可能性があり、スパーズがその獲得競争を主導しているとされる。
財政的な制約とガラタサライの事情
スパーズは今夏、守備陣・中盤の補強にすでに2億3,700万ポンドを投じている。ファンヘッケ、セネシ、ロバートソン、トナーリ、フェルナンデスの獲得がその内訳だ。デゼルビ体制の首脳陣の焦点は今、攻撃陣の強化に移っており、ストライカーは優先順位の高い補強ポイントとされる。とはいえ、9番はこの市場では決して安くはなく、スパーズの予算はこれまでの大型出費で圧迫されている可能性が高い。
そのため、トッテナムは市場で”割安な戦力”を探しており、オシムヘンがその条件に合致する候補として浮上している。ガラタサライではそれなりの待遇を得ているとされるオシムヘンだが、同クラブは比較的”控えめな金額”であれば放出に応じる姿勢だと報じられている。本人もイスタンブールを離れ、再びトップレベルで戦えるロンドンへの移籍を望んでいる可能性が高いとみられる。
サヴィーニョも同時進行、シティはネト獲得を前提に
スパーズはマンチェスター・シティのサヴィーニョ獲得についても、実現への自信を深めているとされる。シティは現在、この移籍に前向きな姿勢を見せており、その理由は後継としてペドロ・ネトを獲得できると見込んでいるためだという。オシムヘンとサヴィーニョの両獲得が実現すれば、この夏の補強はほぼ理想的な形で完結することになる。デゼルビ監督は、センターバックにビルドアップに優れる選手を加えたことで最終ラインからのボール前進の課題を解決し、機能する中盤を構築した上で、前線にスター性を加えることになる。シティでは苦戦していたサヴィーニョだが、持ち前の資質とジローナ時代の実績を踏まえれば、スパーズにとって十分に妥当な賭けだと言えそうだ。
記事解説
今回の報道で重要なのは、「全ぶっぱ(all in)」という表現の強さだ。単なる関心や打診の段階ではなく、クラブの首脳陣が本気で獲得に動いているという印象を与える。5,000万ポンドという具体的な入札額が示されている点も、交渉が実務的な段階に進んでいることを裏付けている。
財政的な文脈も見逃せない。すでに2億3,700万ポンドを投じたスパーズにとって、オシムヘンが”割安な戦力”として位置づけられている点は、今夏の補強戦略の一貫性を示している。実績十分な選手を、市場の相場よりも抑えた金額で獲得できるのであれば、これまでの大型補強で圧迫された予算の中でも現実的な選択肢になる。
サヴィーニョ交渉における「シティがネト獲得を前提に売却に前向き」という説明は、これまで断片的に報じられてきた構図をより明確にするものだ。単にスパーズの交渉力だけでなく、シティ側の補強計画が固まりつつあることが、この移籍を後押ししている可能性が高い。
オシムヘンとサヴィーニョの両方が実現すれば、守備・中盤・攻撃のすべてに大型補強を施した、非常に整った補強期になる。ただし、両案件とも交渉はまだ完了していない。オシムヘンについてはガラタサライとの金額交渉、サヴィーニョについてはシティのネト獲得の成否が、それぞれの実現を左右する変数として残っている。
ただし、今回の”全ぶっぱ(all in)”報道には見落とされがちな論点がある。ガラタサライへの移籍金は「割安」だとしても、オシムヘン本人の給与水準はプレミアリーグでも最上位クラスに達する可能性が高い。推定週給は30万ポンド前後とされ、これはスパーズの既存の給与体系を大きく上回る水準だ。複数の報道では、この給与負担こそが、バルセロナが獲得を断念した最大の理由だとされている。
スパーズが本当にこの水準の給与を提示できるかどうか、または基本給を抑え、ボーナス部分で選手を納得させる等の工夫ができるのかは、移籍金の交渉以上に重要な変数だ。実現には、リシャルリソンやソランケといった既存の高給選手を放出し、給与枠を確保する必要が出てくる可能性が高く、さらには超高給選手の加入によりチーム内(選手代理人を含む)の不和にもつながりかねないため、「割安な移籍金」という切り口だけで楽観視するのは早計かもしれない。

