レポート
「合意間近」から一転
ここ数日、スパーズとインテル・ミランが4,000万ユーロ(3,400万ポンド)規模で合意に達し、あとは個人条件の詰めのみという報道が相次いでいた。伊紙コリエレ・デロ・スポルトも、インテルがロメロとの契約合意に近づいていると伝えていた。しかしここへきて、アトレティコ・マドリードが再びロメロへの関心を強めていることが複数の媒体で報じられている。アトレティコは昨夏にも一度、この28歳のセンターバック獲得を模索していた経緯がある。
提示額はインテルより低いが本格参入
スペイン紙Marcaによれば、アトレティコはロメロ獲得へ動きを加速させる準備が整っているという。移籍情報記者マッテオ・モレットは「アトレティコはクティ・ロメロ獲得へ全力を尽くしている」と伝えている。興味深いのは、アトレティコの提示額が3,000万ユーロ(2,600万ポンド)と、インテルの提示(3,500万ユーロ+ボーナス最大500万ユーロ、計4,000万ユーロ規模)よりも低い水準にとどまっている点だ。アトレティコは資金調達のため、マッテオ・ルッジェーリのアストン・ヴィラ移籍、ナウエル・モリーナのASローマ移籍を進めているとされる。
ロメロの本心はアトレティコ
Marcaは、ロメロ自身がインテルよりもアトレティコ移籍を優先していると伝えている。昨夏の移籍が破談に終わって以降も、本人はアトレティコ行きへの望みを捨てていなかったという。同郷の指揮官ディエゴ・シメオネの下でプレーすることを常に望んできたとされ、これがインテルに対するアトレティコの大きなアドバンテージになっているという。
記事解説
今回のタイミングには、ロメロ陣営とアトレティコの計算が働いていた可能性がある。インテルとの間で移籍金の相場が固まるのを待ってから動くことで、その金額を”ベンチマーク”として交渉をスムーズに進める狙いがあったとも考えられる。移籍金の水準がすでに市場で可視化されていれば、アトレティコとしても無理な高値を提示する必要がなく、交渉の着地点を見出しやすくなる。
アトレティコがこれまで相場より低い水準でのロメロ獲得を画策してきた経緯を踏まえると、スパーズ側に苛立ちがあった可能性は否定できない。ただし、両クラブの関係が決定的に険悪だとは考えにくい。今年1月には、アトレティコからコナー・ギャラガーがスパーズへ3,400万ポンドで移籍しており、クラブ間の交渉ルート自体は機能している。
今後、アトレティコはスパーズの要求額を受け入れ、多少の上乗せに応じる展開が予想される。それでも、インテルとの間ですでに”割安”な水準の移籍金が広まってしまった以上、アトレティコにとっては十分に有利な材料だ。インテルと同時並行で動き、競合関係を早期に表面化させてしまえば、競り合いで移籍金が吊り上がる事態もありえたが、このタイミングで動くことでそれを未然に防いだとも言える。スパーズとしては悔やまれるが、実に狡猾な立ち回りと評価できるだろう。

