レポート
スペンスがパーティとの握手を“行わなかったように見える”映像がSNSで拡散
イングランド対ガーナの試合前セレモニーで、デジェド・スペンスがトーマス・パーティとの握手を“避けたように見える”映像がSNS上で拡散している。テレビ中継では全選手の握手が映されていなかったが、別角度の映像ではスペンスがパーティの前を通過する場面が確認されている。他のイングランド選手は全員、通常通り握手を行ったとされる。
FAは「特別な指示なし」、FIFAプロトコルに従う方針だった
Sky Sports によれば、FAは試合前に選手へ「パーティとの接触に関する特別な指示は出していない」と説明している。イングランドは前節クロアチア戦と同様、FIFAのプロトコルに従い、対戦相手全員と握手を行う方針だった。
パーティは2020〜2022年にかけて4名の女性からの訴えに基づき、7件のレイプ容疑と1件の性的暴行容疑について無罪を主張しており、来年裁判が予定されている。ガーナ代表としては、カナダ入国が認められず初戦を欠場したが、アメリカではビザが発給され、イングランド戦に出場した。
トゥヘルは会見でコメントを控える「助言を受けた」
試合後、イングランド代表監督トーマス・トゥヘルはスペンスの行動について質問を受けたが、FAのメディア担当者から「コメントを控えるように」と助言され、回答を避けた。試合は0-0で終了し、スペンスは右サイドで先発出場した。
記事解説
今回の“握手回避疑惑”は、スペンス個人の意図が明確でないにもかかわらず、SNS上で急速に拡散した点が特徴的だ。映像は一部のみで、スペンスが意図的に拒否したのか、単に動線が重ならなかったのかは判断できない。しかし、パーティが重大な容疑を抱え裁判を控えている状況であることから、映像が過剰に解釈されやすい環境が整っていたと言える。
FAが「特別な指示は出していない」と明言したことは、組織として“事前に判断を下さない”という立場を示したものだ。これは、刑事裁判が未決の段階で選手に行動制限を課すことが“先入観を与える”と見なされるリスクを避けるためであり、極めて慎重な対応と言える。
また、トゥヘルがコメントを控えた点も重要だ。代表監督が個別の行動に言及すれば、意図せず政治的・社会的な意味合いを帯びてしまう可能性がある。スペンス自身の意図が不明な以上、クラブ・代表ともに“事実のみを扱う”姿勢を貫くことが最も合理的だ。
今回の件は、W杯という巨大な舞台で、選手の一挙手一投足がどれほど注目され、文脈によって解釈が変わるかを示す象徴的な出来事となった。

