レポート
85分の“衝撃シーン”──なぜカードは出てPKは出なかったのか
チェルシー戦終盤、ククレジャがファンデフェンを抱え込むように倒し、主審アトウェルは即座に笛を吹いてイエローカードを提示した。スパーズ側は当然のようにPKを期待したが、判定は“警告のみ”。The Independent は、この不可解に見える判定を「ルール上は完全に正しい」と説明している。
ポイントはただ一つ──「ボールがまだインプレーではなかった」からだ。コーナーキックは“蹴られた瞬間”にプレーが開始されるため、ボールが動く前の反則はファウルではなく“反スポーツ的行為”として扱われる。つまり、カードは出るがPKは出ないという構造だ。
IFABルール12が示す“明確な基準”──ボールが動く前はファウルにならない
The Independent は、IFABルール12の記述を引用しながら「direct and indirect free-kicks, and penalty kicks can only be awarded when the ball is in play(直接・間接フリーキックおよびペナルティキックは、ボールがインプレーの時にのみ与えられる)」と説明。VAR担当のジョン・ブルックスもこの基準を確認し、PKの可能性は排除された。
つまり、ククレジャの行為は“カード対象の反則”ではあるが、“プレー中のファウル”ではないためPKにはならない。スパーズ側の怒りは理解できるが、ルール上は極めてシンプルな結論となる。
判定が残留争いに与えた影響──スパーズは最終節へ、ウェストハムに希望
この判定が下されたのは、リシャルリソンのゴールで1点差に迫り、スタジアム全体が緊張に包まれた85分。もしPKが与えられていれば、スパーズは残留をその場で決めていた可能性が高い。
しかし判定は変わらず、試合は2-1で終了。スパーズは残留確定を逃し、最終節のエヴァートン戦へ。ウェストハムは2ポイント差で追走しており、独立紙は「判定の影響は大きいが、ルール上は正しい」と冷静に結論づけている。
記事解説
The Independent の分析は、感情ではなく“ルール”を基準にした冷静な整理が特徴だ。スパーズ側の不満は当然だが、IFABルール12に照らせばPKにならないのは明確であり、VARもその判断を支持した。特に「ボールがインプレーかどうか」が絶対条件である点は、多くのファンが誤解しやすい部分だ。
しかしここでも問われるのは、「一貫性」だ。同様のファールがこれまでのプレミアリーグで多く発生し、見逃されており、そのファールを主審が適切にとっていれば、多くの物議を醸したCK時におけるゴール前の複数のファールの乱れ飛ぶ酷い状況を予防できたはずだ。
一方で、試合状況を考えれば、この判定が残留争いに与えた影響は極めて大きい。スパーズは自力で残留を決めるチャンスを逃し、最終節へプレッシャーを持ち越す形となった。判定は正しくても、痛みは残る──それが独立紙の示した現実だ。
投稿元:Why were Tottenham not given a penalty?

