レポート
チェルシーにとって“スパーズ戦は特別”という揺るぎない感情
BBCは、チェルシーが今季どれほど苦しんでいようとも「スパーズ戦だけは別物」と強調している。クラブは10位、FAカップ決勝も敗戦、ファンとオーナーの関係も冷え込んでいる。それでもスタンフォード・ブリッジにおけるスパーズ戦は、サポーターを一つにまとめる“特別な試合”として扱われている。新監督シャビ・アロンソの就任で多少の希望は戻ったが、スパーズを叩くことはそれ以上の意味を持つ。
スパーズは残留まであと1ポイント。チェルシー側からすれば「スパーズの残留を最終節まで引き延ばす」こと自体が大きな喜びであり、BBCはその感情を率直に描いている。スパーズがブリッジで勝てば残留確定、引き分けでもほぼ安全圏。だがチェルシーのファンは、その“確定”を絶対にこの夜に許したくないという強い感情を持っている。
100年以上続く“宿怨”の起点は1910年の降格劇
両クラブの因縁は地理ではなく“歴史”に根ざしている。1910年、スパーズは最終節でチェルシーを破り、チェルシーを降格させた。これが宿怨の起点となり、1967年のFAカップ決勝では、元チェルシーのジミー・グリーブスとテリー・ヴェナブルズがスパーズの勝利に貢献し、「弱者チェルシー」の火に油を注いだ。
1975年には、チェルシーの象徴的存在エディ・マクレディが監督に就任し、若きレイ・ウィルキンスをキャプテンに据えたが、シーズン終盤にスパーズに敗れ、再び降格。BBCは「この一連の歴史が、チェルシーのサポーター文化に“スパーズ憎悪”を深く刻み込んだ」と指摘している。
その後チェルシーは、“スパーズを上回る存在”として宿敵に圧倒的な勝負強さを見せ続け、1990〜2006年にはリーグ戦で16年間無敗。スタンフォード・ブリッジは“Three Point Lane”と揶揄されるほどの“庭”となった。
2016年“バトル・オブ・ザ・ブリッジ”が現代の宿怨を決定づけた
BBCは、現代のチェルシーvsスパーズの関係を決定づけたのは2016年の乱戦だと断言する。スパーズは優勝争いの真っ只中、チェルシーは10位という不甲斐ない順位でシーズンを終えようとしていた。だが、スパーズを迎え撃ったチェルシーは2点差を追いつき、エデン・アザールのゴールでスパーズの優勝を完全に消し去った。チェルシーファンは “We will remember Eden Hazard’s goal for a very long time” (エデン・アザールのあのゴールをいつまでも忘れないだろう)と語り、あの瞬間を“クラブ史に残る歓喜”として扱っている。
試合はスパーズに9枚のイエローカード、デンベレの6試合出場停止、両軍入り乱れる乱闘、ヒディンクが巻き込まれて転倒するなど、プレミアリーグ史でも屈指の混乱となった。BBCは「チェルシーにとって、あの夜は“スパーズを止めた”という一点で、どんなタイトルよりも価値があった」と記している。
記事解説
BBCの記事は、チェルシーがスパーズに抱く対立意識から、単なるロンドンダービーではなく、100年以上の歴史、降格、決勝、乱戦、そしてファン文化が積み重なった“宿怨”であることを強調している。今季のチェルシーは混乱の中にあるが、スパーズ戦だけは別。スパーズが残留を決める瞬間を“ブリッジで見たくない”という感情が、クラブの現状を超えてサポーターを一つにする。
スパーズにとっては残留を確定させる大一番。チェルシーにとっては“スパーズを苦しめる”という歴史的快感を再び味わうチャンス。両者の思惑が交錯するこの試合は、順位表以上の意味を持つ一戦となる。
投稿元:Relegations, a final and Battle of Bridge – the Spurs-Chelsea rivalry

