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【戦術分析】デゼルビがスパーズを“4試合で別チーム”に変えた理由——高強度プレス、再構築された中盤、そして“人心掌握”

【戦術分析】デゼルビがスパーズを“4試合で別チーム”に変えた理由——高強度プレス、再構築された中盤、そして“人心掌握”

✔ デゼルビ就任4試合でスパーズが別チームに
✔ 最終3分の1でのボール奪取数はプレミア全監督中トップ
✔ 中盤はギャラガー・ベンタンクール・パリーニャで安定
✔ 失点期待値は約50%改善、残留の主導権を握る

レポート

“終わったはずのシーズン”をデゼルビが蘇生させた

2026年に入ってからプレミアリーグ未勝利、監督交代後も即効性が見られず、スパーズは完全に下降線を辿っていた。残留は現実的ではないと多くが考え始め、クラブの周囲には重苦しい空気が漂っていた。しかし、ロベルト・デゼルビがわずか4試合でチームを根本から変え、スパーズは再び“戦えるチーム”として蘇った。ウルブス戦で2026年初勝利を挙げると、続くアストン・ヴィラ戦では2-1で勝利し、ついに降格圏を脱出。Sky Sports はデゼルビが指揮をとり始めてからのサンダーランド戦、ブライトン戦、ウルブズ戦、そしてアストンヴィラ戦を「スパーズの運命を変えた4試合」と表現している。

高強度プレスは“量”ではなく“質”へ——ファイナルサードでの奪取数はリーグトップ

デゼルビのフットボールは、単に走る量を増やすものではない。むしろスパーズは、彼の就任後にスプリント数も走行距離も減っている。それにもかかわらず、ファイナルサードでのボール奪取数は劇的に増加し、1試合平均5.3回というリーグトップの数字を叩き出している。これは、無駄な走りを排除し、相手のビルドアップの“弱点”に狙いを定めた効率的なプレスが機能している証拠だ。デゼルビは選手の動きを細かく整理し、どこでスイッチを入れるか、誰が飛び出すかを明確にしたことで、スパーズは“無駄に走らずに奪う”チームへと変貌した。

興味深いのは、この高位置でのボール奪取が直接ゴールに結びついているわけではない点だ。実際、デゼルビ就任後のスパーズはxG(期待ゴール数)もシュート数も大きく増えていない。しかし、相手に攻める時間を与えないことで、自陣での危険な場面が激減し、試合全体の流れをコントロールできるようになった。攻撃の爆発ではなく、守備の安定がチームを救っているのである。

期待失点数は約50%改善——“守れるチーム”への変貌

デゼルビ就任前、スパーズは1試合平均1.52の期待失点数(xGA)を記録しており、守備はリーグ下位レベルだった。しかし、就任後の4試合ではこの数字が0.79まで改善し、約50%の改善を見せている。これは単なる偶然ではなく、構造的な変化によるものだ。前線からの効率的なプレスにより、相手の攻撃が浅い位置で止まり、スパーズの守備陣が背走する場面が激減した。さらに、相手に“決定機”を作らせない守備が徹底され、危険なシュートを打たれる回数も大幅に減っている。

実際の失点は4試合で4失点だが、そのうち2点は三笘薫のスーパーゴールと、ムキエレのロングシュートがディフレクションした“止めようのない失点”。内容面では、スパーズはすでに“中位レベルの守備力”を取り戻していると言っていいだろう。

中盤の再構築——若手トリオから“残留仕様”の三枚へ

デゼルビの初陣となったサンダーランド戦では、アーチー・グレイ、ルーカス・ベリヴァル、ギャラガーという若手中心の中盤を起用した。しかし、この選択は完全に裏目に出た。サンダーランドのキャプテン、グラニト・ジャカに中盤を支配され、スパーズはセカンドボールを拾えず、攻守の切り替えでも後手に回った。試合後、ジェイミー・キャラガーは「若手2人で残留争いを戦えるのか」と疑問を呈し、ロイ・キーンも「バランスが悪すぎる」と指摘した。

デゼルビはこの試合を教訓とし、即座に中盤を再構築。以降の3試合では、ギャラガー、ベンタンクール、パリーニャの3人に移行し(ブライトン戦、ウルブズ戦はパリーニャではなくビスマが先発)、強度と経験を重視した“残留仕様”の中盤を形成した。このトリオは、球際、デュエル、タックル、切り替えのすべてで相手を上回り、アストン・ヴィラ戦では中盤の主導権を完全に掌握した。デゼルビは理想のフットボールを一旦封印し、現実的な選択をしたのである。

デゼルビの“人心掌握”がチームを変えた

戦術面だけでなく、デゼルビの“人心掌握術”もスパーズの復活に大きく寄与している。就任直後、彼は選手たちに「残留しても降格しても、私は来季もスパーズにいる」と伝えた。これにより、選手たちは短期的な恐怖から解放され、監督への信頼が一気に高まった。さらに、デゼルビは選手の過去のベストプレーを見せて自信を取り戻させるアプローチを採用。ギャラガーにはチェルシー時代の映像を、コロ・ムアニにはフランクフルト時代の映像を見せ、「お前はもっとできる」と鼓舞した。

その結果、ギャラガーは“12人目の選手”と称されるほどの復活を遂げ、コロ・ムアニも右ウイング起用で輝きを取り戻しつつある。選手たちはデゼルビの言葉を信じ、彼のフットボールに心からコミットしている。

記事解説

デゼルビは“理想主義者”ではなく“現実主義者”だった

ブライトン時代のイメージとは異なり、デゼルビはスパーズで“理想より結果”を優先している。プレスは効率化され、中盤は現実路線に切り替えられ、ビルドアップもリスクを抑えた形に調整された。さらに、選手のメンタルケアを最優先し、チーム全体の雰囲気を改善した。この柔軟性こそが、短期間でチームを蘇生させた最大の理由だ。

残り3試合、スパーズは“自力で残留できるチーム”になった

Sky Sports の結論は明確だ。「スパーズは初めて“残留できるチーム”になった」。デゼルビの影響は、戦術・メンタル・組織のすべてに及んでおり、残り3試合を戦う上での土台は完全に整った。スパーズは今、久しぶりに“自分たちの運命を自分たちで掴める”状態にある。

記事ソース

投稿元:Roberto De Zerbi at Tottenham: How new head coach has revitalised Spurs in four matches to turn fortunes around