レポート
118日ぶりの勝利。その歓喜の裏で、チームはまたしても“代償”を払った
スパーズはウルブス戦でようやく2026年のリーグ戦初勝利を手にし、15試合続いた未勝利を断ち切った。試合後、3,000人のアウェイサポーターの前でファンデフェンが全力で駆け寄り、デゼルビが拳を突き上げた光景は、長いトンネルを抜けた瞬間を象徴していた。しかし同時刻にウェストハムがエバートンに勝利したため順位は変わらず、残留圏までの2ポイント差も縮まらないまま。勝っても状況は変わらないという現実が、チームの胸に重くのしかかった。試合後の空気や選手たちの反応については、Football London のアラスデア・ゴールドが現地で詳しく伝えている。
試合内容は決して美しいものではなかった。ウルブスはすでに降格が決まっていたが、ホームの意地でスパーズに圧力をかけ続け、スタンドからは「You’re going down with the Wanderers(お前らもウルブスと一緒に降格だ)」の大合唱。スパーズは序盤こそテンポ良くボールを動かしたが、時間が経つにつれて焦りと硬さが露骨に表れ、攻撃は停滞。そんな中で最初の不運が訪れたのが38分、ソランケが筋肉を押さえてその場に座り込み、リシャルリソンと交代。さらに63分には、シモンズが右膝を押さえて絶叫し、担架で運ばれるという最悪の展開が続いた。デゼルビは試合後、「シモンズは膝だ。膝は筋肉より厄介だ」と語り、表情には明らかな不安が浮かんでいた。
それでもスパーズは踏みとどまった。後半に投入されたテルが執念のチェイスでブエノからボールを奪い、コーナーを獲得。そこからの混戦でリシャルリソンのこぼれ球をパリーニャが押し込み、82分に待望の先制点を奪った。テル、リシャルリソン、パリーニャという“途中出場3人”が絡んだゴールは、デゼルビの采配が的中した瞬間でもあった。
しかし、試合はそこからが本番だった。ウルブスはプライドをかけて猛攻を仕掛け、アディショナルタイムにはジョアン・ゴメスのFKがゴール左上に吸い込まれかけたが、キンスキーがポストに激突しながらも指先で弾き出すスーパーセーブ。直後、ベンタンクールが全力で駆け寄り、キンスキーの胸を叩いて称えたシーンは、この試合の象徴的な瞬間だった。マドリードでの悪夢のようなパフォーマンスから立ち直り、3試合連続で安定した守備を見せたキンスキーにとっても、これは“名誉挽回”の一日だった。
試合後、デゼルビは「選手を失い続ければ勝てない」と率直に語り、ロメロ、クドゥス、そして新たにソランケとシモンズを失う可能性に強い危機感を示した。一方で、パリーニャは「4つの決勝戦が残っている。自分たちの仕事をやり切るだけだ」と語り、残留への強い意志を示した。デゼルビも「私はこのチームを信じている。選手の人間性とプロ意識を信じている」と前向きな姿勢を崩さなかったが、同時に「後半の内容は全く良くなかった」と厳しく自己評価もしている。
ゴールドの記事が描くのは、“勝利の喜び”と“崩壊寸前の現実”が同時に存在するスパーズの姿だ。残り4試合、スパーズはこの二重構造の中で戦い続けることになる。
記事解説
勝利は“きっかけ”になり得るが、問題は何一つ解決していない
この記事の本質は、スパーズが勝利したことそのものではなく、勝利の裏側に潜む“構造的な危機”にある。シモンズ(創造性の中心)とソランケ(CFの主力)が同時に離脱すると、スパーズは昨季終盤と同じく“10番不在の地獄”に逆戻りする。デゼルビが「選手を失い続ければ勝てない」と語ったのは、単なる嘆きではなく、残り4試合の現実的な難易度を示す警告だ。
一方で、テルの突破力、パリーニャの勝負強さ、キンスキーの覚醒、ベンタンクールのリーダーシップは、残留争いにおける“希望の断片”でもある。ゴールドの記事は、スパーズが“希望”と“崩壊”の狭間で揺れ続けるチームであることを鮮明に描いている。
記事ソース
情報元:What Bentancur did to Kinsky and Xavi Simons’ crucial conversation with De Zerbi after his injury

