トッテナムの中盤を担うイヴ・ビスマが、これまでのクラブでの扱いに強い不満を抱いており、今夏の退団に向けて動き出している。『GiveMeSport』のマット・スミス記者によると、29歳のマリ代表MFは前任のアンジェ・ポステコグルーやトーマス・フランクの下での起用法に憤慨(furious)しており、現在はトルコのフェネルバフチェと自由移籍に向けた交渉を行っている。残留圏までわずか1ポイント差という過酷な状況下で、陣容の整理が進むスパーズの現状を整理する。
レポート:憤慨するビスマと「自由移籍」の波紋
契約延長オプションの放棄とトルコへの接触
ビスマはトッテナムでの自身の立ち位置に納得しておらず、クラブが保持している1年間の契約延長オプションを実質的に拒否する構えだ。彼は現在、ジョゼ・モウリーニョが率いるフェネルバフチェと具体的な話し合いを進めており、今夏にフリートランスファーでノースロンドンを去る可能性が極めて高まっている。2022年にブライトンから約3500万ポンドという巨額の補強費用を投じて獲得した選手が、移籍金ゼロで流出することは、クラブの経営戦略にとっても大きな誤算となる。
続いた低迷と序列の低下
ビスマにとって、トッテナムでの数年間は困難の連続であった。ポステコグルー体制からフランク体制に至るまで、中盤の絶対的なレギュラーとして定着することに失敗。昨シーズンはリーグ戦16試合の先発に留まり、今シーズンはさらに状況が悪化してわずか5試合の先発出場に終わっている。度重なる監督交代の中で、一貫したパフォーマンスを見せられなかったことが、今回の「憤慨」と「離脱」という決断に繋がったと言える。トッテナムは今夏、大規模な人員整理を計画しており、ビスマはそのリストの筆頭に挙げられている。
記事解説
デゼルビ体制における「ミスマッチ」の正体
ロベルト・デゼルビという新しい船頭を手にした今、ビスマの退団は戦術的な観点からも合理的であると言わざるを得ない。デゼルビの哲学において、中盤の底に位置する選手には、相手のプレッシャーを逆利用して迅速にボールを循環させ、縦のラインを割る高度な技術とテンポコントロールが要求される。ビスマはボール奪取や運搬能力には優れているものの、ビルドアップのハブとしてパスでゲームを支配するタイプではない。短期的にはダブルピボットの一角として機能する可能性はあるが、長期的な再編を見据えれば、デゼルビの理想を体現するより洗練された選手へのアップグレードが不可欠だ。
なお、デゼルビがこの判断軸でアンカーの選手を評価するのであれば、パリーニャについても買取オプションが行使されることがなさそうだ。
ボスマンルールと「1年延長オプション」の攻防
ビスマが今、フェネルバフチェのような国外クラブと自由交渉ができる背景には「ボスマンルール」が存在する。現行契約が残り6ヶ月を切った選手は、国外クラブと翌シーズンからの加入に向けた事前合意(プレコントラクト)を締結できる。ビスマとトッテナムの契約は2022年に結ばれた4年契約であり、本来の期限は2026年6月だ。クラブ側は契約に含まれる「1シーズンの延長オプション」を行使して価値を守る権利を有していたが、今回のレポートではビスマ本人がこのオプションの行使、あるいは付随する条件の受け入れを拒絶していることが示唆されている。不満を抱えたまま無理に引き留めることは、給与負担だけが増すリスクを伴うため、経営陣も「移籍金ゼロ」を飲んででも決別を選ぶという、実利的な判断に追い込まれている。
補記:ブライトンにおける「すれ違い」の事実
デゼルビとビスマはブライトンという共通のルーツを持つが、実際にはピッチ上で共に汗を流した経験はない。ビスマがトッテナムへ移籍したのは2022年6月であり、デゼルビがチェルシーに引き抜かれたグラハム・ポッターの後任としてブライトンの指揮官に就任したのは同年9月のことだ。つまり、2人の間に師弟関係や個人的な繋がりはおそらく存在しない。デゼルビがビスマに対し、ビルドアップ能力の不足という冷徹な評価を下しているとされる背景には、過去の情愛に左右されない、純粋に現在のパフォーマンスに基づいた客観的な判断があることを物語っている。
情報元:Tottenham Star ‘Furious’ With Treatment and in Talks to Leave on Free Transfer – GiveMeSport
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ビスマのトッテナムでの足跡
今回のレポートにおいて、イヴ・ビスマが2022年に約3500万ポンドの移籍金で加入する前に所属していたプレミアリーグのクラブはどこか?
1. サウサンプトン
2. ブライトン
3. レスター・シティ
4. エヴァートン
正解:2
正解はブライトンだ。ビスマはブライトンでリーグ屈指の中盤として名を馳せ、トッテナムへとステップアップを果たした。皮肉にも、かつて自身が所属したクラブを躍進させたデゼルビが現在の指揮官となったが、ビスマは新体制を待たずしてトルコへの移籍を模索している。

