チャンピオンズリーグ・ラウンド16第2戦。トッテナム・ホットスパー・スタジアムにアトレティコ・マドリードを迎える一戦を前に、両スカッドの明暗が分かれている。第1戦を5-2という大敗で終えたトッテナムは、リバプール戦での劇的なドローを経てドレッシングルームの雰囲気を持ち直したものの、依然として最大12名ものシニア選手を欠く極限状態にある。しかし、対するアトレティコも絶対的な守護神ヤン・オブラクを負傷で失うという、予期せぬ「亀裂」が生じている。
レポート
「12名欠場」という未曾有のハンデ
『football.london』によると、トゥドールが率いるスカッドは、チャンピオンズリーグ逆転突破を目指す上で、物理的な限界点に達している。長期離脱中のジェームズ・マディソン(ACL)に加え、2026年に入り一度もプレーできていないクルゼフスキ(膝蓋骨)の不在は継続。トゥドールはクルゼフスキについて「非常に大きな問題を抱えてきたが、本人は前向きだ。来週の経過を見て判断する」と語るに留め、今戦での復帰を否定した。
さらに、1月に足首を骨折したベン・デイヴィスは今季絶望の様相を呈しており、ハムストリング手術のベンタンクールも合流は代表ウィーク明けとなる見通しだ。ウィルソン・オドベール、クドゥス、ベリヴァルらも4月以降の復帰が現実的であり、攻撃陣の層の薄さは危機的だ。加えて、リバプール戦を脳震盪プロトコルで欠場した主将ロメロとパリーニャ、筋肉系のトラブルを抱えるビスマとファンデフェン、発熱のギャラガーらの出場可否についても、キックオフ直前まで慎重なアセスメントが必要な状況にある。
左サイドのウドギについて、トゥドールは週末のノッティンガム・フォレスト戦での復帰を示唆しつつ、今回の欧州の舞台での起用には懐疑的な見解を示した。
■トッテナムの欠場者(見込みを含む):ジェームズ・マディソン、デヤン・クルゼフスキ、ベン・デイヴィス、ロドリゴ・ベンタンクール、ウィルソン・オドベール、モハメド・クドゥス、ルーカス・ベリヴァル、デスティニー・ウドギ、クリスティアン・ロメロ、ジョアン・パリーニャ、イヴ・ビスマ、ミッキー・ファンデフェン、コナー・ギャラガー、リシャルリソン(出場停止)
アトレティコを襲う「守護神不在」の衝撃
一方で、シメオネ率いるアトレティコ・マドリードにも深刻な打撃が走っている。過去10年間にわたり世界最高のゴールキーパーの一人と称されてきたヤン・オブラクが、ヘタフェ戦を前に筋肉を痛め、今回のロンドン遠征を欠場することが濃厚となった。
第1戦で5ゴールを奪い、3点のリードを持つアトレティコにとって、最後尾に君臨する守護神の不在は、組織的な守備の安定感を揺るがしかねない唯一の懸念材料だ。代役には第2GKのフアン・マッソが指名される見込みだが、大舞台での経験不足は否めない。
また、アトレティコはロドリゴ・メンドーサとパブロ・バリオスも負傷により不在となる。トッテナムが逆転突破という「針の穴を通すような奇跡」を起こすためには、オブラク不在による相手ディフェンスラインの動揺を突く以外に道はない。
■アトレティコの欠場者:ヤン・オブラク、ロドリゴ・メンドーサ、パブロ・バリオス
記事解説
「生存」と「誇り」の天秤:オブラク不在が誘う禁断の果実
アトレティコの絶対的守護神、ヤン・オブラクが戦列を離れるというニュースは、絶望の淵にあるスパーズにとって、あまりに甘美な誘惑だ。5-2というスコアライン、そして13名もの主力不在という現実を考えれば、トゥドールが「残留こそが至上命令」と語り、週末のノッティンガム・フォレスト戦に全神経を注ぐのは極めて合理的な判断である。
しかし、相手の「背骨」が抜けたという事実は、ドレッシングルームに残留争いの恐怖を忘れさせるほどの野心を再燃させかねない。オブラクがいないゴールマウスであれば、ソランケやリシャルリソンが執念でゴールをこじ開け、奇跡の逆転劇を完結させられるのではないか――。この「期待」こそが、今の満身創痍なスカッドにとって、最も危険な劇薬となりかねない。
トゥドールはリバプール戦後、自身の進退論を「戯言」と切り捨て、今この瞬間に集中することを求めた。その「今」とは、欧州での玉砕覚悟の特攻か、それともプレミアリーグ残留のための冷徹な主力の温存か。ウドギやロメロを無理にピッチへ送り出し、万が一再発を招けば、その瞬間にトッテナムの2部降格へのカウントダウンは止まらなくなるだろう。一方で、アンフィールドで見せたあの泥臭いフィジカリティを維持し、ホームの大歓声の中でアトレティコをなぎ倒すことができれば、それは数字以上の推進力を生み出すはずだ。
オブラク不在という幸運を、奇跡の火種にするのか。あるいは、冷静に「生存」を選択するための防波堤にするのか。トゥドールのボートは今、今シーズン最も過酷で、かつ最も魅力的なジレンマに直面している。ボートを漕ぎ続ける意志を、世界が再び注視している。
情報元:15 players set to miss Tottenham vs Atletico Madrid as Diego Simeone faces huge blow
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アトレティコを襲う守護神の異変
今回のレポートにおいて、第2戦を前に筋肉系の負傷により欠場することが確定的とされているアトレティコの選手は誰か?
1. アントワーヌ・グリーズマン
2. ヤン・オブラク
3. フリアン・アルバレス
4. コケ
正解:2
正解はヤン・オブラクだ。世界屈指のゴールキーパーであるオブラクの不在は、アトレティコにとって大きな打撃となる。トッテナムはこの守備の要が不在の隙を突き、5-2という点差からの逆転を目指すことになるが、自軍もまた最大12名の欠場者を抱える厳しい台所事情に直面している。
