チャンピオンズリーグ・ラウンド16の初戦、トッテナムにとってメトロポリターノの夜は文字通りの悪夢となった。イゴール・トゥドールが送り出した若き守護神アントニン・キンスキーが開始16分で3失点に絡むという悲劇を演じ、スカッドは5-2という大敗を喫した。さらに試合終了間際にはロメロとパリーニャが衝突して負傷退場。ノースロンドンに漂う暗雲は、欧州の舞台を超えて国内リーグの残留争いへと波及しようとしている。
レポート
「足元の技術」という評価が招いた16分間の崩壊
『football.london』のアラスデア・ゴールド記者によると、トゥドールはヴィカーリオよりも足元の技術に優れるという理由で、22歳のチェコ人GKアントニン・キンスキーを抜擢した。しかし、この賭けは無残な形で崩壊した。開始6分、濡れたピッチで足を滑らせたキンスキーのパスが相手に渡り、ジョレンテに先制点を献上。14分にはファンデフェンの転倒からグリーズマンに決められ、さらに2分後、自陣ボックス内でのキックミスをアルバレスに奪われて3点目を奪われた。トゥドールはここで非情な交代を決断し、キンスキーはトンネルへと直行。ソランケら控え選手たちが慰める中、若き門番の心は完全に砕け散った。
その後、リシャルリソンの貢献からペドロ・ポロが1点を返し、後半にはドミニク・ソランケが3試合連続となるゴールを挙げたものの、アトレティコの攻撃を止める術はなかった。最悪の事態はアディショナルタイムに起きた。
ロメロとパリーニャが空中で激しく頭部を衝突させ、共にピッチを去ったのだ。トッテナムは9人で試合を終えることとなり、日曜日に控えるリバプール戦を前に、主将ロメロを含む守備の要を失う可能性が浮上している。スタンドではアトレティコの招待客としてポチェッティーノが見守る中、ノースロンドンのボートは今にも沈みそうなほど揺れ動いている。
選手採点(10点満点):
アントニン・キンスキー:0
ケヴィン・ダンソ:4
クリスティアン・ロメロ:5
ミッキー・ファンデフェン:4
ペドロ・ポロ:7
アーチー・グレイ:5
パプ・マタル・サール:4
ジェド・スペンス:4
ランダル・コロ・ムアニ:3
リシャルリソン:6(次戦出場停止)
マティス・テル:5
グリエルモ・ヴィカーリオ:6
ドミニク・ソランケ:6
コノ・ギャラガー:5
ジョアン・パリーニャ:5
シャビ・シモンズ:採点なし
記事解説
残留への希望を打ち砕く「博打」の代償
トゥドールが下したキンスキーの抜擢という決断は、結果としてスカッドの自信を根底から破壊する「残酷な実験」となった。足元の技術を重視したという指揮官の意図は理解できるが、残留争いのプレッシャーとチャンピオンズリーグという大舞台の重圧を、22歳の新鋭に背負わせるにはあまりに酷だった。キンスキーが交代時にトンネルへ直行した姿は、今のドレッシングルームに漂う不安定な空気感を象徴している。交代を命じたトゥドールの判断は実利的には正しいが、若き才能への配慮を欠いた「非情な采配」として、今後の求心力に影響を及ぼしかねない。
さらに、ロメロとパリーニャの負傷は、まさに泣き面に蜂だ。リバプールという強豪を相手にしなければならない週末、脳震盪の疑いがある彼らを欠くことになれば、守備陣は再び崩壊の危機に直面する。ファンデフェンの不安定な守備や、リシャルリソンが警告累積で第2戦を欠場することも含め、ノースロンドンのボートは浸水を止めることができずにいる。ソランケが3試合連続ゴールという結果を残したことだけが唯一の救いだが、そのゴールも5失点の前には虚しく響く。
そして、スタンドに座るポチェッティーノ。かつてこの場所でCL決勝を戦った男が、これほどまでに無力化した古巣を見て何を思ったか。ファンから復帰を待望される英雄の影が、現体制への不信感をさらに増幅させている。トゥドールに求められているのは、もはや戦術の変更ではなく、壊れかけたスカッドの心を繋ぎ止める「言葉」だ。残留という港へ辿り着く前に、トッテナムという船はマドリードの雨の中でバラバラになろうとしている。
情報元:Tottenham player ratings vs Atletico Madrid – Antonin Kinsky nightmare before Romero worry
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メトロポリターノでの悲劇
今回の試合で、CL初先発を飾るも開始16分で「0点」という屈辱的な評価と共に交代させられたGKは誰か?
1. グリエルモ・ヴィカーリオ
2. アントニン・キンスキー
3. ブランドン・オースティン
4. アルフィー・ホワイトマン
正解:2
正解はアントニン・キンスキーだ。トゥドールはビルドアップの質を求めて彼を起用したが、雨のピッチに足を取られ、ミスから失点を重ねるという最悪のデビューとなった。この交代劇が、今後の彼のキャリアやトゥドールの人望にどのような影響を与えるかが懸念されている。
