トッテナムは木曜日の夜、ホームで行われたクリスタル・パレスとの直接対決に1-3で敗れた。ドミニク・ソランケのゴールで先制しながらも、キャプテンマークを巻いたファンデフェンの一発退場によって試合は暗転。10人となったチームは前半のうちに逆転を許し、2026年に入ってから一度もリーグ戦で勝利を挙げられないまま、降格圏が目前に迫る深刻な事態に陥っている。
POINT
レポート
悪夢の前半:先制から主将の「自滅」まで
イゴール・トゥドールはフラム戦から4人を変更し、ケヴィン・ダンソ、マティス・テル、パプ・マタル・サール、そして19歳のソウザをプレミアリーグ初先発として送り出した。
試合は29分、イスマイラ・サールにネットを揺らされるも、VARの長いチェックによりオフサイドと判定され、命拾いをする。この幸運を活かしたのがアーチー・グレイだった。34分、右サイドの深い位置で相手DF2人の間を割って入ると、低い弾道のクロスを供給。これをドミニク・ソランケが押し込み、スパーズが待望の先制点を手にする。
しかし、歓喜はわずか4分で絶望に変わった。主将を務めたミッキー・ファンデフェンが、ボックス内に侵入したサールを後ろから引き倒し、一発退場の判定を受ける。これで与えたPKをサールに決められ同点とされると、アディショナルタイムにはアダム・ウォートンのパスに抜け出したストランド・ラーセンに逆転ゴールを許した。さらにウォートンの浮き球に反応したサールに3点目を奪われ、前半だけで勝負を決められた。
機能不全のスカッドとグレイの輝き
後半、10人のトッテナムはソランケやダンソが惜しいシュートを放つも、ディーン・ヘンダーソンの壁を崩すには至らなかった。
特筆すべきはアーチー・グレイだ。右サイドバックとして先発し、後に中盤へ移動した19歳は、チーム全体が崩壊する中で唯一「戦う姿勢」を崩さなかった。高いインテンシティでのタックル、自らドリブルでボックス内へ侵入する推進力など、指揮官が求める「兵士」そのものの姿を見せた。一方、初先発のソウザは開始6分で警告を受け、ファンデフェンの退場に伴う戦術変更で前半のうちにピッチを去るという、ほろ苦いデビューとなった。
選手採点:FL(football.london) / ES(Evening Standard)
- ヴィカーリオ:4 / 5
PKは逆を突かれ、2点目は股を抜かれた。3点目の場面ではポロから「なぜもっと早く飛び出さないのか」と激怒されるなど、配給以前に守備範囲の判断で精彩を欠いた。 - ペドロ・ポロ:4 / 5
3バックの右でスタート。ヴィカーリオとの連携不足を露わにし、交代時には不機嫌さを隠さなかった。ロングボールも精度を欠いた。 - ケヴィン・ダンソ:6 / 5
負傷から戻り、ファンデフェンの退場後の混乱を必死に片付けようとした。後半には惜しいシュートも放ち、守備陣では唯一の及第点と言える。 - ファンデフェン:2 / 2
「狂気の沙汰(Absolute madness)」と評された。ロメロ不在の中でリーダーシップを期待されたが、脳がシャットダウンしたかのような不用意なファウルで全てを台無しにした。 - アーチー・グレイ:7 / 7
スパーズ側のベストプレーヤー。アシストだけでなく、タックルやドリブルでも違いを見せた。10人の苦境下でも戦い抜いた姿勢は称賛に値する。 - コロ・ムアニ:4 / 4
ソウザと共に前半で交代。ピッチにいた時間帯も攻撃で何も提供できず、交代後はそのままトンネルへ直行した。 - ドミニク・ソランケ:6 / 6
貴重な先制点を記録。数少ないチャンスで決定力を見せたが、数的不利の状況では孤立を深めた。
背景・ソース
今回のレポートは、football.londonのアラスデア・ゴールド記者およびEvening Standardのサム・タブトー記者の現地採点に基づいている。トッテナムは11試合未勝利という不名誉なクラブ記録を樹立し、次節は退場したファンデフェンを欠いた状態でアンフィールドでのリバプール戦に挑むという、絶望的なシナリオに直面している。
参照元:Tottenham player ratings vs Crystal Palace – Van de Ven crazy, Porro anger as Archie Gray fights / Tottenham ratings vs Crystal Palace: Micky van de Ven lets side down as Souza suffers brutal first start
Quiz Cockerel
今回のパレス戦で退場処分を受けたミッキー・ファンデフェンは、次節のどのアウェイゲームを出場停止により欠場することになるか?
1. マンチェスター・シティ戦
2. リバプール戦
3. アーセナル戦
4. チェルシー戦
正解:2
正解はリバプール戦だ。ファンデフェンは一発退場により、アンフィールドでの極めて重要な一戦を欠場する。ロメロも出場停止から明けたばかりの不安定な時期に、守備の要を欠くことは、残留争いにおいてさらなる痛手となる。
スパーズジャパンの考察
1. ロメロ不在が露呈させた「偽りのリーダーシップ」
ロメロの代役としてファンデフェンにキャプテンマークを託した判断は妥当に見えたが、彼がパレスのサールの突進に対して取った行動は、本来のリーダーが持つべき「冷静な判断力」を欠いていた。ロメロのような闘争心を持つ選手がいない現状、組織を統率できる人材がドレッシングルームに一人もいないという「人的資源の欠如」が、降格圏直前という順位にも遠因している。
2. アーチー・グレイという「最後の希望」への祈り
サポーターの怒りは、不用意な退場をしたファンデフェンや精彩を欠くベテラン勢に向いている。その一方で、19歳のアーチー・グレイが流した汗と見せた闘志は、スタンドにとって唯一の救いだった。今のトッテナムで、誰よりもスパーズの誇りを持って戦っているのが最年少の少年であるという事実に、ファンは感動と同時に、今の組織の歪みに対する深い悲しみを抱いている。
3. 11試合未勝利の先に見える「奈落」
「11試合未勝利」というクラブ記録の更新は、単なる数字以上の重みを持つ。トゥドールを招聘してさえ状況が好転しない現状は、問題の根が監督人事ではなく、スカッド全体のメンタリティの腐敗にあることを示唆している。次戦のリバプール戦で奇跡を起こさない限り、トッテナムという名門が「2部降格」という歴史的な屈辱を味わう確率は、もはや無視できないレベルにまで高まっている。
