プレミアリーグ第28節、アウェイでのフラム戦は1-2の敗北に終わった。イゴール・トゥドール体制での初勝利はお預けとなり、降格圏の足音が近づく中で現地メディアは厳しい評価を下している。特に精彩を欠いた先発の中盤・前線に対し、途中出場から反撃の狼煙を上げたリシャルリソンとマティス・テルが高評価を得る対照的な結果となった。
POINT
・シャビ・シモンズとギャラガーに最低評価の「3点」。 攻撃の停滞と守備のミスが厳しく指弾
・リシャルリソンとテルがチーム最高の「7点」。 途中出場から得点を演出、次戦の先発起用を推す声
・守備陣の連携不足。 ファンデフェンとドラグシンのコンビは「互いの位置を把握できていない」と酷評
レポート
守備陣:主将ファンデフェンの苦悩と連携の欠如
守備陣では、負傷から復帰し即先発となったペドロ・ポロが『Evening Standard』で「7点」と及第点以上の評価を得たが、センターバック陣には厳しい言葉が並んだ。
代行キャプテンを務めたファンデフェンに対し、『Evening Standard』は「バックラインからリードすることが求められたが、終始落ち着きがなく、無謀なチャレンジで警告を受けた」として「5点」を提示。相方のドラグシンに対しても『football.london』は「ファンデフェンとのパートナーシップが機能していない。判断ミスを繰り返した」と「4点」の低評価を下した。ヴィカーリオは失点シーンでの対応やキックの精度の低さを指摘され、両紙ともに「5〜6点」に留まっている。
また、左サイドバックで先発したアーチー・グレイは、前半こそフラムの右サイドの攻略に手を焼いたが、後半には見事な攻撃参加からリシャルリソンの得点をお膳立てした。19歳の若者が終盤にチームを鼓舞し続けた姿勢に対し、『football.london』は「このスカッドの多くのベテラン勢よりも主将にふさわしいメンタリティを備えている」と最大級の賛辞を送っている。
- ヴィカーリオ:FL 5 / ES 6
- ペドロ・ポロ:FL 5 / ES 7
- ドラグシン:FL 4 / ES 5
- ファンデフェン:FL 5 / ES 5
- アーチー・グレイ:FL 6 / ES 6
- ソウザ:FL N/A / ES N/A
- ケヴィン・ダンソ:FL N/A / ES N/A
中盤:機能不全に陥ったユニット
中盤の構成は今回、最も批判の標的となった。特にコナー・ギャラガーとシャビ・シモンズに対し、『football.london』は揃って「3点」の衝撃的な低採点を与えた。ギャラガーは先制点の場面でクロスをディフレクトさせてしまった不運もあったが、「右サイドで場違いな役割を与えられ、迷子になっていた」と評された。シャビ・シモンズは敵陣ボックス内で一度もタッチを記録できず、後半早々に交代を命じられている。
ボランチで先発したイヴ・ビスマも、アーセナル戦で見せたインテンシティを再現できず「5〜6点」。古巣対決となったジョアン・パリーニャは、献身的な守備は見せたものの「フラムのトランジションを追いかけるばかりで、中盤を支配するには至らなかった」として「6点」の評価に留まった。
- ジョアン・パリーニャ:FL 6 / ES 6
- コナー・ギャラガー:FL 3 / ES 5
- イヴ・ビスマ:FL 5 / ES 6
- シャビ・シモンズ:FL 3 / ES 5
- パペ・マタル・サール:FL 6 / ES 6
攻撃陣:沈黙の先発と躍動した途中出場組
先発したコロ・ムアニとドミニク・ソランケは、フラムの守備陣に封じ込められた。コロ・ムアニは「走る意欲は見せたが決定機を作れず」、ソランケは2失点目の場面でイウォビのマークを外したこと、そして決定局面での自信のなさを指摘され、ともに「4〜5点」と厳しい評価だ。
一方で、後半から投入されたリシャルリソンとテルは、試合の流れを劇的に変えた。アーチー・グレイ(左サイドバックとして先発し、後半に質を上げた)のクロスを頭で仕留めたリシャルリソンに、両紙は「7点」を付与。「交代出場で常にインパクトを残す」とその勝負強さを称えた。また、得点の起点となったテルに対しても「ボールを持ってフラム守備陣に突っ込み、違いを作った。先発に値する」と絶賛の「7点」が付けられている。
- コロ・ムアニ:FL 4 / ES 6
- ドミニク・ソランケ:FL 4 / ES 5
- リシャルリソン:FL 7 / ES 7
- マティス・テル:FL 7 / ES 7
背景・ソース
今回の採点は『Evening Standard』のサム・タブトー記者、および『football.london』のアラスデア・ゴールド記者の記事に基づいている。残留争いのライバルたちが勝ち点を取りこぼす中で、スパーズはその機会を活かせず、今季13敗目を喫した。
トゥドールにとって、機能しなかった先発メンバーの再編は、次戦クリスタル・パレス戦に向けた喫緊の課題となる。
参照元: Evening Standard | Tottenham player ratings vs Fulham
参照元: football.london | Tottenham player ratings vs Fulham
Quiz Cockerel
今回、途中出場から得点を決めたリシャルリソンのゴールをアシストし、『football.london』から「ベテラン勢よりも主将にふさわしいメンタリティを持っている」と評された19歳の選手は誰か?
1.ルーカス・ベリヴァル
2. アーチー・グレイ
3. マティス・テル
4. パペ・マタル・サール
正解:2
正解はアーチー・グレイだ。この試合では左サイドバックとして先発し、前半はフラムのハリー・ウィルソンへの対応に苦慮したが、後半には見事なオーバーラップからリシャルリソンのゴールをアシスト。終盤にはチームを鼓舞する姿勢を見せ、その精神的な成熟度が高く評価された。
スパーズジャパンの考察
1. システムの不備か、個人の限界か
トゥドールが持ち込んだ規律や守備の修正は、フラムの流動的なアタックの前では無力に近かった。特にポロが復帰したことで、パリーニャを本来の中盤に戻せたものの、センターバックの二人(ファンデフェン、ドラグシン)の距離感やカバーリングの意識に致命的なズレが生じている。パリーニャやコロ・ムアニが、残留争いのプレッシャー下で本来のパフォーマンスを引き出せていない現状は、深刻なリスクと言わざるを得ない。
2. 代行主将の空回りと若手への期待
主将ロメロを出場停止で欠く中、ファンデフェンがキャプテンマークを巻いたが、空回りするシーンが目立った。サポーターは彼の能力を疑っていないが、今のチームに必要なのは「落ち着かせるリーダー」だ。それに対し、アーチー・グレイやテルのように「何とかしてやろう」という野心を見せる若手に対し、ファンの期待が集中している。先発陣の覇気のなさが、スタジアムの冷え切った空気と同調してしまっている。
3. マティス・テルを「ジョーカー」で終わらせるな
今回の採点結果が示す通り、現在の停滞した攻撃陣において、マティス・テルの縦への推進力は唯一の「打開策」となっている。彼がジョーカーとして優れているのは証明済みだが、今のスパーズには試合開始から相手に脅威を与え続ける存在が必要だ。次戦、パレスとの直接対決では、シャビ・シモンズやコロ・ムアニをベンチに下げてでも、絶好調のテルとリシャルリソンを並べる非情な決断がトゥドールに求められている。
