【武者修行】「ワールドカップ確約」ヴシュコヴィッチと「救世主」ムーアの劇的弾、高井幸大は2戦フル出場。世界に散らばるスパーズ・ローン組18名の最新動向

トッテナム・ホットスパーが世界各地に送り出している「ローン組」が、今週も各地で目覚ましい成果を上げている。現在、18名の選手が武者修行に励んでおり、レンジャーズのマイキー・ムーアによる終了間際の同点弾や、ハンブルガーSVのルカ・ヴシュコヴィッチに対するクロアチア代表からの「A代表確定」宣言など、将来のスカッド入りを予感させるニュースが相次いでいる。

レポート:世界で研鑽を積む18名の「現在地」

トッテナムのローン部門責任者であるアンディ・スコーディングが注視するなか、18名の若き才能たちがイングランド下部リーグからドイツ、イタリア、スコットランド、そして南米で貴重な実戦経験を積み重ねている。当初は19名であったが、左サイドバックのカラム・ローガンがブライトリー・タウンから復帰し、現在はU-21チームでプレーしているため、対象は18名となっている。

1. マイキー・ムーア(レンジャーズ)

今週、最も注目を集めたのはスコットランドの地で「救世主」となった18歳のマイキー・ムーアだ。リヴィングストン戦において中央の10番(トップ下)の役割で先発したムーアは、チームが0-2の劣勢に立たされるなか、88分に劇的な同点ゴールを記録した。ジェームズ・タヴァーニエのクロスに対し、彼にとって珍しい形である見事なフリック・ヘディングで合わせ、10人となったリヴィングストンから勝ち点1をもぎ取った。

ムーアは試合序盤からアンドレアス・スコフ・オルセンへの精密なクロスで決定機を演出し、自らも鋭いシュートで相手ゴールを脅かした。後半にもボヤン・ミオフスキーに決定的なパスを供給するなど、攻撃のタクトを振り続けた。試合終盤にはボックス内で倒される場面もあったが、長いVAR判定の結果、ファウルは認められなかった。ムーアは今季、レンジャーズで公式戦36試合に出場し、5ゴール3アシストを記録。スコットランドのメディアやファンからその高いパフォーマンスに対し多大な称賛を浴びている。

2. ルカ・ヴシュコヴィッチ(ハンブルガーSV)

ドイツでは、18歳のセンターバック、ルカ・ヴシュコヴィッチの将来が確固たるものとなった。クロアチア代表のアシスタントマネージャーを務めるイヴィツァ・オリッチ氏は、メディアの取材に対し、ヴシュコヴィッチが今夏のワールドカップ(北米大会)においてクロアチアのシニア代表メンバーに含まれることを「100パーセント」と断言した。

オリッチ氏は「彼はブンデスリーガ(※実際には2部HSVだが1部級の評価)で最高のディフェンダーの一人であり、ユースチームでの物語は終わった」と語り、飛び級でのA代表入りを確約した。

ヴシュコヴィッチは累積警告により先週末のマインツ戦(1-1)を欠場したが、今季ここまで21試合に出場し、1,920分のプレータイムを記録している。世界中のトップクラブが関心を示しているものの、スパーズは彼と長期契約を結んでおり、来シーズンはファーストチームの戦力として組み込む方針だ。

3. 高井幸大(ボルシア・メンヒェングラートバッハ)

日本代表の21歳、高井幸大はボルシアMGにおいて2試合連続で90分間のフル出場を果たした。日曜日に行われたフライブルク戦(1-2で敗戦)でもセンターバックとして先発し、ドイツ・フットボールの速さと物理的な強度に徐々に適応しつつある。トッテナム加入直後の負傷期間を乗り越え、実戦でのフィットネスと鋭さを取り戻す段階にある。

4. その他の注目選手

  • ユスフ・アカムリッチ(ブリストル・ローヴァーズ): グリムズビー・タウン戦で1ゴール1アシストを記録。ブリストル・ポスト紙から8点の高評価を受け、「スパーズからのローン組が与えたインパクトは著しい」と絶賛された。
  • マノル・ソロモン(フィオレンティーナ): 直近3試合で2ゴールを挙げるなど、セリエAでレギュラーの座を確立している。
  • ジェイミー・ドンリー(オックスフォード・ユナイテッド): 1月のデビュー戦での頭部負傷から6週間ぶりに復帰。ミドルズブラ戦でのドローに貢献し、実戦復帰を喜んでいる。
  • アルフィー・デヴァイン(プレストン): 中盤の核として32試合に出場し、6ゴール2アシスト。チームは敗れたものの、前半には輝きを見せた。
  • アルフィー・ドリンントン(サルフォード・シティ): 長距離のスローインをフリックし、フットボールリーグでの自身初アシストを記録した。

背景・ソース

本記事のソースは、2026年2月23日に公開された『football.london』のアラスデア・ゴールド記者による独占レポートだ。レポートは、トッテナムが「パスウェイ(成長の道筋)」をいかに組織的に管理しているかを詳報している。

背景には、夏に新監督(正式監督)を迎え入れることが確実視されているクラブの過渡期がある。ローン中の選手たちにとって、現在の活躍は「新体制下での居場所」を確保するためのオーディションそのものだ。

ヴシュコヴィッチのように来季の戦力として計算されている選手もいれば、アレホ・ベリスのように既に他クラブへの売却(バイーアへの移籍)が合意されている選手もいる。ゴールド記者は、これらの多様な状況をアンディ・スコーディングが統合管理している現状こそが、クラブの将来的な強化策の鍵であると分析している。

参照元: Luka Vuskovic summer statement, rare Mikey Moore moment and Jamie Donley returns

スパーズジャパンの考察

1. ヴシュコヴィッチへの「A代表確約」が持つ価値

クロアチア代表のオリッチ氏が「ユースでの物語は終わった」とまで言い切った事実は、ヴシュコヴィッチのポテンシャルがもはや「有望株」の域を超えていることを示している。18歳にしてワールドカップを経験することは、来季トッテナムの守備陣に加わる際、計り知れない自信と経験値をもたらすだろう。ロメロやファンデフェンとの競演は、現在望みうる最高の未来となる。

2. マイキー・ムーアの「適応力」と10番としての開花

レンジャーズで10番の役割を任され、かつ「ヘディングでの同点弾」という新しい武器を見せたムーアの成長は著しい。スコットランドの激しいフィジカルコンタクトの中で36試合を戦い抜いている事実は、彼の肉体的な頑健さを証明している。シャビ・シモンズらのバックアップ、あるいは競合相手として、来季のプレシーズンで彼がどのような立ち位置を築くのか多大なる注目が集まる。

3. 「ローン18名」の戦略的整理

ベリスの売却合意に見られるように、クラブはローン組を「呼び戻すための枠」と「資金化するための枠」に明確に切り分けている。この冷徹なまでのスカッド管理が、夏の移籍市場における補強資金の捻出、および人件費の適正化に向けた有力な解決策となっている。高井幸大のブンデスリーガでの定着を含め、スパーズのDNAを持つ選手たちが世界中で価値を高めている現状は、クラブのリクルート戦略の成功を裏付けているのではないかと推測される。

クイズ(Quiz Cockerel)

ジャンル:監督・代表 今回のレポートにおいて、クロアチア代表のアシスタントマネージャーであり、ルカ・ヴシュコヴィッチの今夏のワールドカップ帯同を「100パーセント」と断言した元バイエルン・ミュンヘンのストライカーは誰でしょうか。

  1. ニコ・コヴァチ
  2. イヴィツァ・オリッチ
  3. スラベン・ビリッチ
  4. ズラトコ・ダリッチ

解説: 正解は「2. イヴィツァ・オリッチ」だ。現役時代にクロアチア代表やバイエルンで活躍したオリッチ氏は、ヴシュコヴィッチのHSVでのパフォーマンスを「ブンデスリーガ最高レベル」と絶賛し、シニア代表への招集を明言した。