【検証】ダービーの命運を分けた「二つの判定」と通信障害の悪夢。コロ・ムアニの幻のゴールと、問われる判定の一貫性

トッテナム・ホットスパーがアーセナルに1-4で敗れたノースロンドン・ダービーにおいて、審判団による重要な決断が大きな波紋を広げている。ランダル・コロ・ムアニの幻の同点ゴールや、ブラジル代表ガブリエウとの接触、そして試合を中断させた異例の通信トラブルの舞台裏を詳報する。

レポート:判定を巡る議論と技術的混乱

アーセナルがタイトル争いにおいて重要な勝利を収めた一方で、ピッチ上ではピーター・バンクス主審のジャッジを巡り、多くのスパーズファンが憤りを感じる事態となった。現地メディア『football.london』の番記者であるアラスデア・ゴールド(トッテナム担当)とトム・キャントン(アーセナル担当)は、試合の行方を左右した主要な場面を次のように分析している。

1. 通信機器の致命的な故障

前半開始早々、審判団の間で通信が完全に途絶えるというテクニカル・ブレイクダウンが発生した。このトラブルにより試合は一時中断され、前半のアディショナルタイムは異例の「8分」に及んだ。後半開始前にも同様の問題が再発し、試合のリズムが著しく損なわれた。トム・キャントン記者は「これほどのビッグマッチでこのような失態は許されない」と批判し、アラスデア・ゴールド記者は「後半開始直後の失点は、この異例の停滞による集中力の欠如と無関係ではない」と指摘した。

2. 前半終了間際の接触プレイ

1-1の同点時、裏へ抜け出したコロ・ムアニとガブリエウが交錯。両者が倒れ込み、ボールはダビド・ラヤの手元へ転がったが、主審は笛を吹かなかった。リプレイ映像ではわずかなユニフォームツの引っ張りが確認されたものの、両記者ともに「ファウルと断定するには不十分な接触であり、賢明なディフェンスであった」との見解で一致している。

3. 疑惑の「幻の同点弾」

試合の最大の争点は、2-1でアーセナルがリードしていた場面でのコロ・ムアニのゴール取り消しだ。右サイドからのクロスに対し、コロ・ムアニがガブリエルの背中に手を添えた状態で競り合い、ネットを揺らした。主審はこれをプッシングのファウルと判定し、VARも介入しなかった。 アラスデア・ゴールド記者はこれに対し、「映像を精査すれば、手のひらが触れた程度であり、ガブリエウが巨人に押されたかのように大げさに倒れて審判を欺いたのは明らかだ」と猛烈に批判。さらに、数週間前のリヴァプール戦で、ウーゴ・エキティケがクリスティアン・ロメロを背後から明らかに突き飛ばして得点した場面が認められた事実を引き合いに出し、判定の一貫性が著しく欠如している現状を「台所に料理人が多すぎて、かえって料理が台無しになっている」と痛烈に皮肉った。

背景・ソース

本記事のソースは、2026年2月23日に公開された『football.london』のレフェリー・レビュー記事だ。

レポートは、ダービーという極限のプレッシャー下で、テクノロジーへの過度な依存が招いた運営の不手際と、人間の主観による判定のブレが、いかに試合の質を損なわせたかを伝えている。

背景には、トッテナムが2026年に入ってから一度も勝利を挙げられていない(4分け5敗)という、著しく深刻な不振による焦燥感がある。

1-1までは対等に戦い、2-2となるはずだったゴールが取り消されたという事実は、残留圏まで勝ち点差が縮まっている現状において、チームとサポーターにとって耐えがたい「不条理」として記憶されることとなった。

参照元: Kolo Muani goal, Gabriel last-man foul, VAR verdict – Arsenal vs Tottenham referee review

スパーズジャパンの考察

1. 「一貫性」という名の壁

アラスデア・ゴールドが指摘したエキティケの件との比較は、現在のプレミアリーグのレフェリングが抱える構造的な問題を射抜いている。ロメロがその際の抗議で出場停止を招いた一方、同様のシチュエーションでコロ・ムアニの得点が認められなかったことは、組織のルール運用が場当たり的であることを示している。この判定に冷静だが熱く抗議を続けるも、無情な判定に肩を落としていたのがキャプテンのファンデフェンだった点も、(前後関係は不明だが)トゥドールの指示を無視したようにみえた姿勢に影響を与えていたのかもしれない。

2. 通信障害が招いた「魔の後半2分」

ハーフタイムを跨いで繰り返された通信機器のトラブルは、新監督イゴール・トゥドールが持ち込もうとした「組織と強度」の出鼻を挫く形となった。後半開始直後の失点は、ピッチ外の要因で試合のリズムが分断されたことによる代償だ。テクノロジーの不備が結果を左右する現状に対し、リーグ側には抜本的な強化策が求められる。

3. コロ・ムアニに宿る「不運の連鎖」

24秒での同点弾という輝きを見せながら、逆転の主役になるはずだった場面で判定に泣いたコロ・ムアニ。彼のトッテナムでのキャリアは、いまだこうした「不運」に阻まれ続けている。しかし、ガブリエウを圧倒したフィジカル能力と決定力は本物であり、この「怒り」を次戦のフラム戦での爆発へと繋げることが、再建への唯一の道となるだろう。

クイズ(Quiz Cockerel)

ジャンル:試合運営・トラブル 今回のノースロンドン・ダービーの前半、審判団の間で発生した「通信機器の故障(テクニカル・ブレイクダウン)」により、前半のアディショナルタイムは異例の「何分間」に及んだと報じられているでしょうか。

  1. 5分間
  2. 8分間
  3. 10分間
  4. 12分間

解説: 正解は「2. 8分間」だ。レポートにある通り、通信障害による中断が発生したため、前半終了時には8分という多大な追加時間が提示された。後半開始前にも同様のトラブルが発生し、スタジアムの騒音を分断させるなどの影響を及ぼした。