【採点】ダービー1-4惨敗、トゥドール初陣の全選手評価。コロ・ムアニが意地の1発も、崩壊した守備陣と沈黙した「魔法」

トッテナム・ホットスパーのイゴール・トゥドール暫定体制は、首位アーセナルとのノースロンドン・ダービーにおいて1-4という著しく厳しい大敗で幕を開けた。待望のリシャルリソンがベンチに戻り、ランダル・コロ・ムアニが同点弾を挙げるなど一時は希望が見えたものの、最終的には攻守両面で実力差を見せつけられた格好だ。現地2紙による詳細な選手採点を詳報する。

レポート

マンチェスター・シティ戦に続く強豪との連戦、かつ新指揮官の初陣となったこの試合。主力12名を欠く「骨組み」のスカッドで挑んだ選手たちに対し、アラスデア・ゴールド記者(football.london)とサム・タブトー記者(Evening Standard)は以下のように採点した。

1. 攻撃陣:孤軍奮闘のコロ・ムアニと、沈黙した至宝

この試合で唯一高い評価を得たのが、先発に抜擢されたランダル・コロ・ムアニだ。デクラン・ライスからボールを奪い、鋭い低弾道のシュートで同点弾を叩き込んだ。

  • コロ・ムアニ:FL 7 / ES 8
    • FL評:ライスから奪取し、左から切り込んで先発起用に応えた。
    • ES評:何もないところから同点弾を生み出した。2点目が取り消されたが不運であった。
  • シャビ・シモンズ:FL 4 / ES 4
    • FL評:リズムを掴むのに苦しみ、危険なエリアでのパスミスで肝を冷やした。
    • ES評:攻守両面で活気がない。ファイナルサードでボールを保持できなかった。

2. 中盤:インテンシティの限界

新監督へのアピールを誓ったイヴ・ビスマは、敗戦の中でも一定の評価を得た一方、コナー・ギャラガーらは苦戦を強いられた。

  • イヴ・ビスマ:FL 6 / ES 5
    • FL評:敗北の中にあっても、唯一称賛に値する熱意を見せた。
    • ES評:エネルギーを注入したが、アーセナルの波状攻撃を制御できなかった。
  • コナー・ギャラガー:FL 4 / ES 5
    • FL評:1時間で交代。それほど多くを提供できなかった。
  • パペ・マタル・サール:FL 4 / ES 6
    • ES評:ピッチを駆け回り奪取に励んだが、先制点の場面でサカに突破を許した。

3. 守備陣:裏目に出たマンツーマンと個のミス

主将を務めたミッキー・ファンデフェンや、19歳のアーチー・グレイら守備陣は、アーセナルの圧倒的なクオリティの前に苦しんだ。

  • グリエルモ・ヴィカーリオ:FL 6 / ES 7
    • ES評:積極的に飛び出し、サカとの1対1を二度防ぐなど、失点を最小限に抑えようと奮闘した。
  • ラドゥ・ドラグシン:FL 5 / ES 7
    • ES評:前半はギェケレシュを完璧に封じ込み、喝采を浴びた。しかし後半、エゼに引き出され勝ち越しを許した。
  • ミッキー・ファンデフェン:FL 4 / ES 6
    • FL評:ペースが上がらず、サカに何度も背後を突かれた。
    • ES評:サカの決定的シュートをブロックしたが、ラインを押し上げなかったことでトゥドール監督の怒りを買った。
  • ジョアン・パリーニャ:FL 4 / ES 5
    • FL評:3バックの右で苦戦。3失点目の場面では自身の踵に当たったボールがエゼに渡る不運もあった。
  • アーチー・グレイ:FL 4 / ES 5
    • FL評:前半に顔面を強打し鼻血を出した。二人のアタッカーを一人で相手にさせられるなど、孤立して苦しんだ。
    • ES評:経験不足を露呈。4失点目ではギェケレシュに力で圧倒された。

4. 途中出場組

  • リシャルリソン:FL 6 / ES 6
    • 負傷明けながら、本能的なフリックでゴールに迫るなど、厄介な存在になろうとした。
  • ドミニク・ソランケ:FL 5 / ES 5
    • 喉の不調明けでベンチスタート。試合の流れを変えるには至らなかった。

背景・ソース

本記事のソースは、2026年2月22日に公開された『football.london』および『Evening Standard』の選手採点レポートだ。

トッテナムが2026年のプレミアリーグで未だ勝利がなく、16位に沈む現状を反映した、極めて著しく厳しい内容となっている。

背景には、トゥドール監督が就任初戦で導入したアグレッシブな戦術(マンツーマン守備)が、首位アーセナルの個の能力に対し、あまりに多大なリスクを伴っていた事実がある。

主将のファンデフェンが指摘した通り、「一人が遅れれば崩壊する」という脆さが露呈した。12名もの負傷者を抱え、万全でないソランケを温存せざるを得ない状況のなか、旧知のコロ・ムアニが示した得点力だけが、次戦以降に向けた唯一の明るい材料となった。

参照元: Tottenham player ratings vs Arsenal – Xavi, Van de Ven and Gray struggle
参照元: Tottenham player ratings vs Arsenal: Xavi Simons lacklustre as Randal Kolo Muani unlucky

スパーズジャパンの考察

1. トゥドール流「コロ・ムアニ取扱説明書」の威力

プレミアリーグで無得点だったコロ・ムアニが、就任初戦で即座にゴールを挙げたことは、トゥドール招聘の最大の成果だ。ライスを力で凌駕し、ネットを揺らしたあの瞬間の強度は、前体制にもなかったものだ。オドベールを失った攻撃陣において、この「師弟関係」が唯一の、かつ確実な再建の柱となるだろう。

2. 「不沈の盾」を揺るがした新監督の激昂

ファンデフェンに対し、トゥドールがラインの押し上げを巡って激しい怒りを示したというES紙の記述は、組織に走る新たな緊張感を物語っている。ロメロ不在のなかでリーダーシップを期待されたファンデフェンが、新体制の求める「極限のインテンシティ」に適応しきれなかった事実は、残留を懸けた12試合のサバイバルがいかに非情なものであるかを示唆している。

3. 19歳アーチー・グレイに課された「過酷な修行」

ユナイテッド戦のソウザ同様、グレイもまたアーセナルの強力なウィングを一人で引き受けるという不条理な任務を課された。鼻血を出しながら戦い抜き、最後はギェケレシュに力負けした経験は、彼にとって高い授業料となった格好だ。この若き才能を潰さないための精神的なケアが、今のバックルームスタッフに求められている。

クイズ(Quiz Cockerel)

ジャンル:試合・監督 今回のノースロンドン・ダービーの採点レポートにおいて、トッテナムのディフェンスラインの管理(ラインの押し上げ)を巡り、イゴール・トゥドール暫定監督の激しい怒りを招いたと報じられた選手は誰でしょうか。

1. ラドゥ・ドラグシン
2. ジョアン・パリーニャ
3. ミッキー・ファンデフェン
4. アーチー・グレイ

解説: 正解は「3. ミッキー・ファンデフェン」だ。『Evening Standard』紙の採点レポートによると、主将を務めたファンデフェンは、アーセナルが試合を支配する中で守備ラインを十分に押し上げることができず、タッチライン際のトゥドール監督から厳しい叱責を受けたことが記されている。