スパーズジャパンの考察
1. 「ロマン」か「効率」か。アンジェの不変の美学
ポステコグルーの批判は、彼がトッテナムに持ち込もうとした「自分たちの力で支配する」という理想の裏返しだ。効率的な1ゴールのために手を使う戦術に頼ることを「フットボールではない」と断じた姿勢は、彼が単なる勝敗以上に「競技としての高潔さ」を重んじていることを示している。このこだわりこそが、ファンの心を掴みながらも、時に現実との摩擦を生んだ要因であったと言える。
2. アルテタとフランクが築いた「効率の壁」への反発
アルテタやフランクがロングスローを「科学」として昇華させている現状に対し、ポステコグルーがそれを「ただのミキサー」と称した点は興味深い。これは、かつて「アンジェ・ボール」がデータ主導の守備戦術に封じ込められた際のフラストレーションが、戦術論として言語化されたものかもしれない。新体制のトゥドールが、前監督のもとで効果を発揮したロングスローという「効率的な攻撃」をどのように扱うかが注目される。
3. ゴールキーパー保護への提言と今後の強化策
密集地でのキーパーへの接触を「ファウルだ」と言い切ったことは、ヴィカーリオがセットプレーで晒されてきた苦境に対する、前監督なりの擁護とも取れる。コーナーキックや敵陣深くでのロングスローは、攻撃側にとって「ファールになってもカウンターのリスクは低く」、守備側にとっては「ファールがPK(ほぼ失点)に繋がる」という非対称な環境を生み出す。いわば攻撃側が積極的にリスクを犯すべき環境で、アーセナルはその矛先をゴールキーパーに向ける戦術を採用している。
