トッテナム・ホットスパーがトーマス・フランクを更迭したことで支払う代償の全貌が明らかとなった。指揮官一人の解任に費やされる800万ポンドに加え、就任時からの投資総額は2300万ポンド(約49億円)に達する。この著しい財務的打撃が、なぜ今イゴール・トゥドールという「暫定監督」を選択させたのか、その舞台裏を詳報する。
レポート
トッテナム・ホットスパーがトーマス・フランク(52)を更迭した判断は、クラブの歴史においても著しく高額な「失敗」として記録されることとなった。
『Sports Illustrated』が詳報した財務分析によれば、フランク体制の清算に要するコストの総計は、驚愕の2300万ポンド(現在のレートで約49億円)に達するという。これには、わずか12ヶ月前にブレントフォードから彼を引き抜くために投じた1000万ポンドの違約金に加え、今回の解任で彼とバックルームスタッフに支払われる800万ポンドの退職金、さらには在任期間中の高額な給与が含まれている。
昨夏のポステコグルー解任に伴う400万ポンドの支払いを含めれば、スパーズは過去1年足らずの間に、指揮官の交代劇だけで約3000万ポンド近い現金を浪費した格好だ。この深刻なキャッシュフローの圧迫こそが、なぜトッテナムが本命であるマウリシオ・ポチェッティーノの即時招聘を見送り、イゴール・トゥドール(47)という暫定監督を選択したのかという問いへの、冷徹な回答となっている。
ポチェッティーノを今すぐアメリカ代表から引き抜くには、さらに2170万ポンド(約46億円)という世界最高額級の違約金が必要であり、フランクの清算コストと合わせれば、その総額はクラブの補強予算を完全に食いつぶす規模となる。
経営陣はこれ以上のパニック投資を避け、夏にポチェッティーノとの契約が切れるタイミングを待つ戦略的忍耐を選択した。トゥドールに託された任務は、この空白の4ヶ月を最小限のコストで凌ぎ、16位に沈むチームを残留させるという実務的な「火消し」に他ならない。
しかし、財務的な整理が進む一方で、現場の再建は待ったなしだ。トッテナムはすでに次の正式な監督探しを開始しており、過去の高額な解任費用を教訓に、次は無所属(フリー)の指揮官を好む傾向にある。
ポチェッティーノ復帰に向けた状況は整いつつあるが、マルセイユを去ったばかりのロベルト・デ・ゼルビも有力な候補としてリストに残っている。11名の負傷者を抱える極限状態において、トゥドールの4ヶ月にわたる「オーディション」がどのような結果を招くのか。49億円という代償を払ったクラブには、もはや次なる失敗は許されない。
