トッテナム・ホットスパーの暫定監督に就任するイゴール・トゥドール。かつてトッテナムの強化を担ったファビオ・パラティチが惚れ込み、アンドレア・ピルロとの確執も経験したクロアチア人指揮官の、攻撃的で妥協なき素顔を詳報する。
レポート
トッテナム・ホットスパーの救世主として白羽の矢が立ったイゴール・トゥドール(47)は、これまでの指揮官たちとは一線を画す特異な背景を持っている。
最大の注目点は、かつてトッテナムの強化を統括し、現在もその影響力が囁かれるファビオ・パラティチとの深い繋がりだ。パラティチはユベントス時代にトゥドールの指導者としての才能をいち早く見出し、2020年にアンドレア・ピルロの右腕として彼をトリノへ呼び寄せた張本人である。
しかし、その性格は極めて情熱的であり、妥協を許さない。ユベントスのアシスタントコーチ時代には、上司であるピルロと衝突してその座を辞すという、指導者としては異例の「仲違い」を経験している。この強烈な個性こそが、ロメロや、統治崩壊に揺れるスパーズのドレッシングルームに規律と熱狂を再注入するための強化策として期待されている。
戦術面では、現役時代の「妥協なきセンターバック」というイメージを覆す、極めて攻撃的でインテンシティの高いフットボールを信奉している。前任のトーマス・フランクが、相手に合わせて形を変える「現実主義」に重きを置いていたのに対し、トゥドールは自ら主導権を握り、観客をエンターテインメント(娯楽)として楽しませるスタイルを強調する。
ユベントスでの第2期では、チアゴ・モッタ後の停滞した組織に「3バックのマンツーマン・ディフェンス」という劇薬を投入し、11試合でわずか1敗というV字回復を成し遂げた。
今回が監督として12個目の役職となる「ジャーニーマン(旅人)」である事実は、裏を返せば、短期決戦において即座に組織を戦わせる能力の高さの証明でもある。16位転落という泥沼のなかで、この「パラティチの秘蔵っ子」がN17の地にどのような新しい顔をもたらすのか。アーセナルとのダービーでのデビューに向け、その全貌が明らかになろうとしている。
