トッテナム・ホットスパーを25年にわたり牽引してきたダニエル・レヴィが、自身が保有するクラブ株式の売却に向けて具体的な交渉に入っていることが判明した。かつて買収に失敗した二人の投資家が連合を組み、約10億ポンドでの取得を狙っているという。
レポート
トッテナム・ホットスパーの主要株主であるダニエル・レヴィが、自身が保有する29.9%の株式を売却するために、二人の有力投資家と交渉を行っている。交渉の相手は、昨年秋に45億ポンドでの完全買収を試みたアメリカの元DJであり起業家のブルックリン・エアリック、および香港を拠点とする億万長者Ng Wing-Faiだ。
以前は個別にクラブの買収を提案し、オーナーであるルイス・ファミリーに拒絶されていた両名だが、現在は連合軍を組み、レヴィの持ち分を買い取るための条件を協議しているという。
レヴィが提示している売却希望価格は約10億ポンド(約2,100億円)とされており、これはクラブ全体の価値を約33億ポンド(約7,000億円)と評価するものだ。この数字は、昨年秋にエアリックが当初提示した評価額と一致している。特筆すべきは、対象となっている株式数が「29.9%」である点だ。
英国の買収ルール(テイクオーバー・パネル)によれば、保有比率が30%を超えると全株式に対する強制的な全面買収オファーが義務付けられるが、29.9%に留めることでこの規定を回避しつつ、取締役会での多大なる影響力を確保する狙いがあると推測される。
今回の売却劇は、昨年9月にルイス・ファミリー主導の「内部クーデター」によってエグゼクティブ・チェアマンの座を追われたレヴィによる、一種の「出口戦略」あるいは「復讐」の側面を孕んでいる。Ng Wing-Faiはレヴィの提示額に応じる構えを見せているが、一方で現在の14位という不名誉な順位を懸念し、「降格時には売却額を引き下げる」という降格条項の挿入を求めている。
レヴィはこの条件に難色を示しているとされるが、25年間の統治に終止符を打つための巨額の「退職金」を手にするべく、水面下での駆け引きが続いている。
