サンダーランドとの1-1の引き分けは、トッテナムにとって単なる「勝ち点の取りこぼし」以上の課題を浮き彫りにした。試合中、ピッチ上では異例の光景が目撃され、試合後には選手の感情が爆発。さらに、舞台裏では経営陣の判断の是非が問われている。
異例の指示書と現場の混乱
ファンデフェンがソックスに隠した「秘密のメモ」の正体
この試合で最も奇妙、かつ興味深い瞬間は、ミッキー・ファンデフェンがコーチ陣からの指示に対処した方法だった。ランダル・コロ・ムアニ経由で手渡された戦術メモを受け取ると、ファンデフェンはそれを読んだ後、なんと自分の左足のソックスの中に仕舞い込んだのである。
次にサンダーランドのコーナーキックの機会が訪れると、彼は再びソックスからメモを取り出し、内容を熟読。周囲の選手たちにセットプレー時のマークや配置について細かく指示を飛ばした。セットプレー・コーチのアンドレアス・ゲオルグソンによるこの「カンニング・ペーパー」は功を奏し、スパーズは守備の乱れを防ぐことに成功した。
交代策による主導権の喪失とベンタンクールの激昂
しかし、後半の采配が試合の流れを暗転させた。アーチー・グレイとウィルソン・オドベールを下げてジョアン・パリーニャとルーカス・ベリヴァルを投入した判断は、中盤のクリエイティビティを削ぐ結果となった。ホームでありながらポゼッション率は48.8%まで低下。さらにクリスティアン・ロメロの集中力欠如による失点で、勝利は手からこぼれ落ちた。
試合終了のホイッスルが鳴ると、フラストレーションは頂点に達した。ロドリゴ・ベンタンクールがサンダーランドのヘールトトライダと衝突。一触即発の事態となり、トーマス・フランクが引き離そうとするもベンタンクールの怒りは収まらず、最終的にはロメロが彼をドレッシングルームへと引きずっていかなければならなかった。
「売却能力」への執着とパラティチへの依存
経営面に目を向けると、より深刻な「歪み」が見て取れる。ブレナン・ジョンソンの売却について、トーマス・フランクは「クラブが過去に苦手としていた『売却能力』を向上させるための決断」と正当化したが、代替案がない中での放出は現場の負担を極めて重くしている。
特筆すべきは、フィオレンティーナへの移籍が内定しているファビオ・パラティチに対し、クラブが「あと数日間だけ残ってほしい」と異例の留任要請を行っているというイタリアでの報道だ。これは、現在の補強戦略が依然として彼の手腕に依存しており、フロントが自律的なスカウティング体制を構築できていない現状を多大なる不安とともに露呈させている。

