スパーズジャパンの考察
1. 「フランク流」とスパーズのDNAの衝突
フランクが志向する効率性重視の守備的なアプローチは、アウェイでの勝ち点獲得という結果こそ生んでいるが、ファンの感情とは乖離している。スパーズのファンは伝統的に「To Dare Is To Do(挑戦なくして成功なし)」という、攻撃的で流れるようなフットボールを求めている。現状の「退屈な勝利」ですら不満が出る中で、「退屈なスコアレスドロー」はファンにとって耐え難い。フランクがこのアイデンティティの危機を克服するには、単なる結果以上に、ピッチ上のスペクタクルを取り戻す必要がある。
2. アーチー・グレイに課された重圧の正体
19歳の少年に「中盤の支配」を求めるのは酷かもしれないが、マディソンらの負傷離脱が続く中で、彼への依存度は極めて高まっている。フランクが彼を「10番」や攻撃的な役割に押し出そうとしていることも、グレイ自身の強み(機動力とボール回収)を殺してしまっている懸念がある。グレイの停滞は、個人の能力というよりも、監督の戦術的な迷いと、現在のスカッドのクリエイティビティ欠如の犠牲者であるとも言える。
とはいえ、シーズン序盤はやや不遇だった若いタレントにここで大きな役割を託したのであれば、フランクの長期的な視野でチームや選手を育てることを念頭においた采配にも一定の評価ができるはずだ。
3. 歴史が物語る「ディフェンダーのキャプテン」とリーダーシップ
トッテナムにおいて、ロメロのような「熱血漢のセンターバック」がキャプテンを務めることは、歴史的な系譜を受け継いでいる。かつてのレジェンド、レドリー・キングやギャリー・マバットのように、寡黙ながらも背中で引っ張るタイプもいれば、グラハム・ロバーツのような闘志を前面に出すタイプもいた。しかし、ロメロの課題は「規律」の欠如だ。キャプテンが最多ファウルを犯し、不安定なプレーを見せる状況では、かつてロバーツらが持っていた「チームを引き締めるオーラ」は生まれない。アルゼンチン人キャプテンという珍しいケースにおいて、彼が技術的なリーダーとは異なる「精神的支柱」になりきれるかが、フランク体制の命運を握っている。
参照元: Three things we learned from Tottenham draw as fans lose patience with Thomas Frank struggles

