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【試合評】フランクへの不信感と「アイデンティティの危機」。グレイの停滞とロメロの不安定、不毛なドローで見えた3つの教訓

2026年の幕開けとなるブレントフォード戦で、トッテナムのファンの一部は、古巣へ帰還したトーマス・フランクに対してブーイングを浴びせた。Gテック・コミュニティ・スタジアムでの0-0というスコアレスドローは、単なる勝ち点の取りこぼし以上の、深刻な問題を浮き彫りにしている。Evening Standardのサム・タビュトー記者が、この停滞した一戦から得られた3つの教訓を分析する。

目次

1. 深まる「アイデンティティの危機」

トーマス・フランク体制下のトッテナムは、著しくスロースターターである。今シーズンのプレミアリーグにおいて、前半戦のシュート数および枠内シュート数が最も少ないのはスパーズだ。

先週末のクリスタルパレス戦での勝利により、今シーズンのアウェイでの勝ち点獲得数はリーグ最多を維持している。しかし、そのパフォーマンスは決して盤石とは言えず、フランクが掲げるスタイルの明確な設計図を示すには至っていなかった。

ブレントフォード戦の前半45分間、トッテナムの枠内シュートはわずか1本。相手ボックス内でのタッチ数も9回に留まった。ファンを納得させるような「新年の楽観」はどこにも見当たらず、フランクの効率重視のスタイルが「美しさに欠ける」という批判は、結果が出ないことでさらに著しく強まっている。試合終了後、ファンに挨拶に向かったフランクに浴びせられた一部のファンからのブーイングは、彼がスタイルと結果のジレンマの中で、窮地に立たされていることを象徴していた。

2. アーチー・グレイの課題:指揮官の信頼と現実の乖離

前節の決勝点を決めたアーチー・グレイは、フランクから多大なる信頼を受け、リーグ戦5試合連続で先発に名を連ねた。しかし、この日の19歳は、混沌とした試合展開の中で主導権を握ることに著しく苦労した。

かつてスパーズ加入前にブレントフォードへの移籍が取り沙汰された経緯を持つグレイだが、この日はアイデアを欠いているように見えた。先発したフィールドプレーヤーの中でタッチ数が最も少なく、安全な選択を繰り返しながらも、21本のパスのうち6本をミス。パス成功率71%はチームで2番目に低い数値だった。

フランクは試合後もグレイと長く話し込み、彼を「中盤の未来」と称賛している。しかし、彼が真に試合を支配できるミッドフィルダーに成長するためには、まだ学ぶべきことが極めて多い。

3. ロメロの不安定な復帰:キャプテンシーへの疑問

クリーンシートを達成したとはいえ、クリスティアン・ロメロのパフォーマンスはかなり不安定だった。出場停止から復帰し、固定された守備ユニットに戻ったロメロだが、イゴール・チアゴのフィジカルを前に終始翻弄された。

ロメロはピッチ上で最多のファウルを犯し、チアゴに振り切られそうになった際の不器用なチャレンジは、失点に繋がらなかったことが幸運と言えるものだった。彼のキャプテン就任は、リーダーシップの資質というよりも「消去法(必要性)」による決定であったという疑念が、パフォーマンスの激しいムラによって再び強まっている。フランクは今後もロメロを支持し続けるだろうが、長期契約を結んだばかりのアルゼンチン人の長期的な去就については、まだまだ議論の余地があるだろう。

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