3. ベリヴァルの痛みとドラグシンの「1%の努力」
勝利の影で懸念されるのが、ルーカス・ベリヴァルの負傷だ。スウェーデンの若き才能は、激しい痛みを訴えながらそのままドレッシングルームへと直行した。トーマス・フランクは「明日診断する」と述べるに留まっている。
一方で、1月のエルフスボリ戦でACL(前十字靭帯)を断裂したラドゥ・ドラグシンが、約11ヶ月ぶりにプレミアリーグのピッチに帰ってきた。初タッチでゴールを強襲するヘディングを見せた彼は、Instagramでその苦難の道のりを振り返った。
「11ヶ月前、愛することを奪われた。でも決して諦めなかった。毎日、昨日より1%でも良くなろうと努力してきた。ファンの前でまたプレーできて最高だ」
4. パラティチの去就と「エンパワリング」の組織論
スタンドには、フィオレンティーナからの引き抜きが噂されるファビオ・パラティチがCEOのヴェンカテシャムと共にいた。パラティチは契約更新からわずか2ヶ月でイタリアへの帰還が取り沙汰されているが、スパーズは現時点で正式なアプローチを受けていないとしている。
特筆すべきは、現在のスパーズが「特定の個人に依存しない組織」へと変貌を遂げている点だ。ルイス・ファミリーの主導で行われた改革により、かつてのダニエル・レヴィのような長期政権による中央集権を廃し、各部門への「権限委譲(Empowering)」が進められている。パラティチが去ったとしても、以前ほどの影響は出ないようなスカッド構築の体制が整いつつある。
5. 1月の優先順位と「即戦力」メイソン・メリアの合流
1月の移籍市場において、スパーズの優先事項は「左サイドの刷新」だ。特に左ウイングが最優先であり、中盤とセンターバックの補強も視野に入れている。マンチェスター・シティのサヴィーニョを諦めておらず、アントワーヌ・セメンヨの状況も注視している。
また、元日からアイルランドの新星メイソン・メリアが合流する。18歳の彼は、単なるアカデミー候補生ではない。すでにシニアで98試合(欧州大会を含む)を経験している「即戦力」候補だ。
さらに、ベンチ入りしながら出番のなかった高井幸大についても興味深い分析がある。ベンチに他に3人のセンバーバックがいたことから、今回のベンチ入りは実戦投入よりも「高井はすでに怪我から復帰し、プレミアリーグでベンチ入りできるほどフィットしている」という事実を、1月のローン移籍を検討しているクラブへアピールするための戦略的意図があった可能性が指摘されている。

