今週末のリバプール戦を前に、クラブの歴史を紐解く「The Knowledge」から、非常に興味深いエピソードを紹介する。1965年、アンフィールドでのリバプール戦で、ある10代の青年がスパーズの歴史を永久に塗り替えた。その男の名は、ロイ・ロウ(Roy Low)だ。
1965年、フットボールの「ルール」が変わった年
1965-66シーズンは、イングランドのフットボール界にとって大きな転換点であった。この年、フットボール・リーグに初めて「交代枠」が導入されたのである。
それまでのフットボールでは、選手が負傷しても交代は認められず、1人を欠いたチームは10人での戦いを強いられるのが普通であった。新たに導入されたルールでも、当初は「負傷者が出た場合のみ、1人だけ交代可能」という厳しい制限があったが、これが後に戦略的な交代へと進化していく第一歩となった。

唯一のゴールが、クラブ初の「交代選手の一撃」
1965年9月、アンフィールドで開催されたリバプール戦。当時10代だったロイ・ロウは、負傷したジミー・ロバートソンに代わってピッチに入った。そして彼はその試合でゴールを記録し、「交代出場した選手が記録したスパーズの歴史上、初のゴール」という不滅の記録を樹立したのである。
ロイ・ロウは後に、自身のキャリアをこう振り返っている。
「10代だった私にとって、アンフィールドのような場所でデビューし、さらにゴールを決めるなんて夢のようだったよ。当時は交代枠が導入されたばかりで、自分が歴史を作っているなんて意識は全くなかった。ただ、負傷したジミーの代わりに私ができることを全うしようと思っていただけだ」
「私のスパーズでの公式戦ゴールは、結局この1点だけだった。でも、それがリバプールを相手に、クラブ初の『スコアリング・サブ(得点した交代選手)』として記録されたことは、人生において最大の誇りだよ」

