ジャーメイン・ジーナス、ノースロンドン・ダービーへの熱き想い
このエントリーをはてなブックマークに追加 Check スパーズ関連のメディア報道・その他2016年3月 5日


❏トッテナム対アーセナル:スパーズはダービーでの勝利以上のものを目指している

アーセナルとスパーズは、伝統のカップ戦の準決勝で過去何度か対戦しているが、リーグでの対戦となると、おそらく土曜の試合がこれまでで最大のノースロンドン・ダービーだろう。

私自身の経験からも言えるが、ノースロンドン・ダービーと言うだけで非常に大きなイベントだが、シーズンのこの時期に来て双方のクラブがタイトルを争っているというのはさらなる興奮を与えている。


❏スタジアムの熱気:一度ホイッスルが鳴れば、スタジアム中は爆発する

私がトッテナムに在籍していたときには、たとえ全く順位的には競っていなくとも、アーセナルとの試合は一番楽しみなものだった。

サポーター同士のライバル意識は非常に強烈で、ほとんど憎悪とも呼べるようなものだ。ウォームアップでピッチに出たときにはいつもその雰囲気に打たれたものだ。特に観客席との距離が非常に近いホワイトハート・レーンではそうだった。

ピッチの端から端までランニングで肺を活性化させるウォームアップをやっていた。タッチライン際ではファンの人たちと目と目を合わせることすらできる。彼らの首筋には血管が浮き上がり、こんなことを叫んだりする。

「今日こそやってやるんだ、ジーナス!」

自分の席に引っ込んで、どうやって冷静さを保つべきかと考えたものだ。このダービー戦のカギはきちんと状況に対処することで、熱くなっていることが必ずしも助けになるとは限らないからだ。

そうした冷静さが必要だ。一度ホイッスルが鳴り試合が始まれば、スタジアム中が爆発するからだ。


❏現役当時:アーセナルのほうが自分たちより優れていることは分かっていた

アーセナル戦の私の記録は十分評価できるものだった。だがスパーズに在籍した2005年から2013年の8年間で一度も彼らの上位で終わることは無かった。

トッテナムは1995年以来アーセナルの上位にはなっていない。2006年には非常に近いところまで行ったが、最終戦で負けその機会を逃している。食中毒がスカッドを襲った、所謂『ラザニア・ゲイト』だ。

その年を除いて、私のスパーズ時代には選手たちはアーセナルを上回ることは考えていなかった。何故なら、現実を見ればそして我々はそうしていたが、アーセナルのほうが我々よりも良いチームだと分かっていたからだ。彼らはいつも我々の上を行っていた。時として現実を受け止めなければいけないこともある。

選手として、『セント・トッタリンガム・デイ』のことは知っていた。スパーズがアーセナルの上位では終われないことが計算上確定した日をアーセナル・ファンが祝う日である。
(tottering-トッタリング(よろめく)とTottenham-トッテナムをかけている)

先にも言ったように、選手たちはそれについては特に気にかけていなかった。彼らと戦うときには、順位表の位置を比べることなどせずに常にその試合のことだけに集中していたものだ。

これは非常に重要な対戦で、ファンの人たちが我々を誇りに思えるように、月曜に意気揚々と仕事に迎えるように、しっかりと戦わなければいけない。その考えで、我々は試合に臨んでいた。

スパーズは当時から大きく進化してきた。今回はこのダービーと言うだけではない。もっと大きなものを目指しているのだ。

マウリシオ・ポチェッティーノ監督がメディアに何を言おうと、クラブの誰もが、リーグタイトルを目指すという考えだろう。そして誰もがそれが可能だと信じている。


❏現在:トッテナムはもはやアーセナルの陰に甘んじてはいない

当時、我々がアーセナルを倒したとしたら、それは常にショッキングな出来事だったが、もはやそうではない。

アーセナル・ファンがあれほど苛立っているのは、それが理由の一つであると思う。何故なら自分たちのクラブは相も変わらずだが、トッテナムが進化していると感じているからだ。それこそが彼らの気を揉ませている最大の問題だ。

今、アーセナルのファンと話をしたなら(少しばかり過剰にアーセナル愛を表現する類のファンではなく、真にフットボールを愛する人たちとだが)、2つのクラブの間にはもはや大きな差は存在しないと言うだろう。

スパーズはもはやアーセナルの陰に甘んじてはいない。それはここ10年の双方のクラブにおけるメンタリティの変遷によるものだろう。

アーセナルの位置づけは、たとえばティエリー・アンリやパトリック・ビエラのようにワールドクラスの選手たちを揃えタイトルに挑戦しそれを獲得するチームから、トップ4に入りチャンピオンズリーグの席に居続けるチームに移行した。

トッテナムはほとんどのシーズンをトップ4圏外で終えてきたが、常にそこに食い込むことを切望してきた。彼らの進歩は、現状に満足せずに常に向上しようと努力し続けたことにある。

その意気込みで今シーズンを戦ってきたスパーズは、自分たちの目標を凌駕した。今、彼らはタイトル候補の高みにいる。それを維持できるかは彼ら次第である。


❏ダービーでの引き分けがスパーズに信念をもやらした

水曜日にウェストハムに敗戦を喫したことにより、トッテナムは今シーズン初の首位浮上の機会を逃している。それでも順位は今だアーセナルの上位につけている。

11月のエミレーツ・スタジアムでのダービーはトッテナムの進歩の上で大きな意味を持っていると感じている。試合は1-1で終わったが、スコアを別として試合そのものを観れば、あらゆる面でスパーズはアーセナルを崩壊させていた。

誰もが信じがたいやり方で、ポチェッティーノはアルセーヌ・ベンゲルを凌駕し、今のアーセナル相手にどう戦うべきかを示したのだ。

トッテナムにとってあれは貴重な瞬間だった。それはポチェッティーノとそのスタッフにとっても同様である。恐らく今シーズン、何か特別なことを達成できると言う信念を、彼らに植え付けたのだろう。

あの試合の前から、私は今シーズンのスパーズはトップ4達成には十分な強さがありそうだと思っていたが、それ以降、彼らはただただ成長の路を邁進している。彼らが試合を御するやり方は実に見事だ。決してパニックに陥ることはない。どんな状況になろうともだ。

それはあたかも、強かった当時のアーセナルの敵に対する姿勢のようだ。そしてアーセナルはある時期ピークを迎え、今は自ら招いた崩壊の底に沈んでいる。

人はいかにレスターが重圧に絶えられるかを話題にし続けるが、今、その重圧の試練に落脱したチームが一つある。アーセナルだ。

土曜の試合はトッテナムがタイトルを獲得するためには必勝だろう。だがガナーズにとっても負けられない試合だ。

今シーズン、プレミアリーグで予想をするのはとても難しく、アーセナルが負けたとしてもこれで完全に優勝の望みが絶たれたとは言い切れない。が、それでもタイトルの望みはほぼゼロに近いものとなるだろう。