ホワイトハート・レーンから西に数百メートル。現在建設中の新スタジアムからゴールキックを2、3回蹴れば届く位置にあるタワー・ガーデンズ・ロードの垣根は今も生き生きとしている。その垣根をゴールに見立ててストリートでフットボールに興じていたかつての少年たちは成長し、そのうちの1人が現在は活躍の場をストリートからスパーズに替えてプレーしている。

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現在20歳のカイル・ウォーカー・ピータースは、その当時のことをハッキリと覚えている。今週、2020年までの契約にサインしたウォーカー・ピータースは語る。

「若かった頃は、トッテナム地区の隣のウィンチモア・ヒルでまさしくストリートのプレーをしていたんだよ」

「公園ではやったりはしなかった。誰かの家の垣根をゴールにしてやったものさ。近所の人たちは僕のことを知ってたし、フットボールを楽しんでることに理解を示してくれたから、ずっと僕に好きにさせてくれたんだ!」

 

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ご近所の皆さんが彼に自由を与えてくれたのは、やがて彼にスパーズでプレーする日が訪れると考えていたからかも知れない。

「ホント。みんなそう言ってたんだよ!」

「僕は近所のみんなに頻繁に会いに行ってたからね。ニューカッスル戦を観たトッテナム・ファンのみんなが誇りに思ってくれたら良かったんだけどね」

 

カイルの夢は、8月13日のセント・ジェームズ・パークでいっきに現実へと変わっていった。11歳の頃からクラブに在籍し、マウリシオ・ポチェッティーノのもとでファーストチームに参加するようになってからの最高の18ヶ月間を経て、ニューカッスル戦でプレミアリーグの開幕戦を右サイドバックとして先発したのだ。

 

スパーズの無失点に貢献、2-0で勝利した試合で活躍したカイルは、スカイスポーツのマン・オブ・ザ・マッチに選ばれている。

 

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もちろん、まだファーストチームでの実績は1試合のみ。カイル自身もそのことはよく分かっている。しかし、トッテナムの周辺地域に住むフットボール少年たちは、いつかスパーズでプレーすることができるという実績を残すことに成功した。

「本当に、この地域のみんなにとっては良いことさ。この地域から輩出されたんだからね…すべてはハードなトレーニングと、直向きな姿勢。自分の力でやってのけることができるってね」

「デニスとメアリーの両親の助けがあって僕はやってこれた。2人は僕に地に足をつけて進むように努めてくれたし、人生の選択は、賢くするように躾けられたんだ。両親は僕がより良い道を進めるようにしてくれたのさ」

「父はいつも『フットボールよりも勉強だぞ』って僕に言い付けてきた。それが僕の根っこの部分にあるんだと思う。だって、そういったことこそ大事で、根っこがしっかりしていれば、ファーストチームに加わったって自分のフットボールに専念できるからね」

 

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「16歳になる頃はそんな感じ。勉強では良い成績だったし、その後にはフットボールだけに専念できた。おかげで本当に支えになってるよ」

 

夏にU-20イングランド代表としてワールドカップを制覇し たカイルはファーストチームでのデビューを飾り、そして新たな契約にサインをした。今、飛ぶ鳥を落とす勢いのカイルは、本質的にここがキャリアのスタートとなる。

 

「その通りだね。自分に高い水準を設定したら、それを維持することがかなり難しいし、自分を高めていかないといけない」

「気を抜いてはいられないし、僕は1試合の出場を果たした。上手くやったと思うけど…あの出場はもう過去のことにしないとね。あの試合を振り返ることもあるだろうけど、これからは次の出場のことを考えないといけないし、学び続ける姿勢だよ」

 

 

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タワー・ガーデンズ・ロードで垣根に向かってボールを蹴り込んでいた少年が、来シーズン、新スタジアムのピッチに足を踏み入れると何を感じるのだろう?

 

「その気持ちを表現することはできないよ。それもまた夢の実現となるだろうね。建設中の風景をずっと見続けているし、どうなるのかを楽しみにしているんだ。そのピッチでプレーするなんてとんでもないことさ。その夢を叶えられることを心から願っているよ」