/会話、行動、私の人生、情熱、その全て – マウリシオ・ポチェッティーノ、フットボールについて語る

会話、行動、私の人生、情熱、その全て – マウリシオ・ポチェッティーノ、フットボールについて語る

 

「私の毎日は、24時間フットボールについて語っている。私にとってフットボールは、会話の全て、行動の全てだ。人生そのものであり、情熱そのものなんだ」

 

 

Nihal Arthanayake interviews Spurs boss Mauricio Pochettino

 

トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、世界のフットボール界で最も高い評価を得ている監督の一人だ。

就任以来3年半、このアルゼンチン人監督はスパーズをプレミアリーグで5位、3位、そして2位に導いてきた。その間、ハリー・ケイン、エリック・ダイアー、デレ・アリのイングランド代表トリオを含む、若い選手たちの台頭にも貢献している。

BBCラジオ5のニハル・アータナヤキのインタビューのなかで、自身のフットボール哲学、経歴、家族、そして試合への情熱などについて、45歳の若手監督は語っている。

 

バランスを見つけることの難しさ

昔から何かと競い合っていたことは忘れないよ。最初は兄弟と、そして友達。学校で遊ぶ時もいつでもね。どんなことにも、首を突っ込んでいた。

野心家だったのかは分からないが、夢を果たすために闘っていたし、自分自身や自分の気持ちに従うことが私のやり方だった。

今でもそういう振る舞いをしている。もっと責任感は持っているけど、今でも自分の感情に従っているよ。

私の毎日は、24時間フットボールについて語っているようなものだ。私にとってフットボールは、会話の全て、行動の全てだ。人生そのものであり、情熱そのものなんだ。

それが私が人生を楽しめる方法だと分っている。私にとっては、家族とフットボールが一番大切なもの、両方とも同じくらいにね。

どこでその2つのバランスを取るかは簡単じゃないね。だが、幸運なことに私の家族もフットボールを愛しているんだよ。

 

妻からの助言、そして批判

試合後にうちの奥さんは、実にいろいろアドバイスやら批評やらをしてくれるんだ。時々勘弁してくれと思うこともあるね。「なぜ、そんなアドバイスするんだ」と言っちゃうよ。でも、良いことだと思ってる。違った視点からの意見を聞くのは、いつも大切なことだからね。いろいろな観点に触れることで、よりクリエイティブなれる。

映画や読書など何か他のことをしようとしても駄目だね。画面を見てはいても全然集中していない。頭の中では試合で何が起こったかを考えているんだ。止められないよ。それはそれは難しいね。

監督となった今は敗戦がより堪えるね。どうやって選手の助けになるか、チームを良くしていけるかを常に考えているし、なぜあんな判断を下したのかと自分を責め立てるんだよ。そう、いつでも大変な苦痛となる。だが、それを重荷には感じないけどね。

むしろ、良い仕事をしようという責任感の方をより感じるよ。忘れてはいけないのは、自分の周りの人間や自分自身を失望させないこと。そしてフットボールは楽しんでやらなければいけない。

 

父親としての存在からフットボールまで

父親になった時、私はまだ若かった。22歳だよ。1994年エスパニョールと契約した時には、私と妻との2人だった。1995年1月に息子が生まれ、バルセロナで家族は3人になったんだ。

人生で最高の経験だったね。

親として子供との関係を友人のように語る者もいるが、それは不可能だ。お父さん、お母さんであることは変えられないんだ。『友情』という言葉が親子の関係を的確に表現できるのかは、どうなんだろうね。

私が父として努めていることは、いつもそこに居ることだ。子供たちが必要としている時にはいつでもね。無条件でだ。

そこにいると言うことが大事なんだ。子供たちが、両親がいてくれると感じることができれば、話したい時に話ができる。何か相談したい時でも、何か悩みがある時でもね。だが、話すことを強制はできない。いつでも子供たし次第なんだ。

選手たちとの関係も似ているよ。彼ら次第だ。

選手たちが緊密にしたい時もあるかも知れない。何か助けが必要な時、フットボール以外の問題を相談したい時、ピッチ上での助言が欲しい時。

個人の性格や人となり次第だよ。あなたの息子と私の息子たちでは全く違うだろう。近くにいる必要がある子もいれば、距離が欲しい子もいる。無理強いすれば問題を引き起こすだろう。だがみんな、親が自分たちのためにそこにいてくれると分っている必要があるんだ。

また、間違いを犯すことも必要だし、親はそれを批判するためにそこにいるんじゃないと知ることも必要だ。子供にこう言うために、そばにいるんだ。そして、「そうだね、間違いも必要な時もある。大事なのは、そういう経験をしその経験から学ぶことなんだよ」と声を掛けるのさ。

物事が上手く行く時だけではなく、失敗した時もね。おそらくそれが一番大切なことだ。

 

Mauricio Pochettino playing for Espanyol

 

何故監督をするのか

どの子たちも、顔や目の中に表情を持っている。賢そうな眼差し、無垢な表情。どの子の思いの中にも、フットボールをしたい、楽しみたいと言うか確固たる思いが見えるし、彼らの夢を感じ取れるよ。

私がコーチをするのは、まず第一に私の考えでは、夢を実現したいという人々の助けになることはとても重要なことだと思うからだ。

我々はそれができる立場にある。フットボールはパッションであり、思いが全てだからだ。そこに関わって、プロジェクトの一端を担いクラブとともに分かち合う。ファンタスティックなことだと思うよ。

我々にとってはとても刺激的なことなんだ。歩み続け、選手たちが才能を発揮して、フットボールへの愛ゆえの夢を実現する、その手助けをすることはね。

 

ただのミーハーにならないように気を付けたよ – ニハル記者、ポチェッティーノに会う

※インタビュワー、ニハル・アータナヤキの後記

よくあることだが、心の中ではファン心理でワクワクしていながらも、報道者としてプロフェッショナルでいようと頑張っているんだ。

こういう仕事をしていて本当にラッキーだよ。さまざまな分野で実に刺激的な仕事をしている人物に会いインタビューすることができる。概ねいつも冷静を装って敬意を持った関心を示せていたらいいんだが。

マウリシオ・ポチェッティーノを前にするのは、甚だきつい試練だったね。

スパーズ・サポーターとして、両手を宙に振り上げて何千ものドラムの騒音よりも大きな声で叫ぶことができるのは、ひとえにこの男のおかげなんだ。彼のおかげで、私の10歳の息子は学校に乗り込む時に、当然の権利とばかりに意気揚々と行進するんだよ。僕らにはアリやエリクセン、ケインがいる。毎週のように彼らが他のほとんどのプレミアリーグのチームを圧倒するんだから、それは当たり前のことなんだ、とね。

ポチェッティーノがそこで僕の前に座って、あの暖かい笑みを浮かべその自信と漲る力を自然とにじみ出させていた。少々緊張するなんてものではなかったね。

場所はある学校の食堂を借り切ったんだ。部屋は寒く、彼はコーチ陣や広報のスタッフを連れて現れた。ディレクターとカメラ班、音響さんに照明スタッフ。

質問したい項目のリストを用意していたが、最終的に会話がどの方向へ流れていくかに興味があった。上にも書かれていることで分かるように、彼はオープンで友好的だった。今日はみんなが、監督と言う役割を担っているこの人物の素顔を見ることができたよ。

『ヒーローには実際に会うべきではない』という古い格言は真実じゃないね。

 

ーポチェッティーノは自身の『指導者としての情熱』というプログラムを開始することについて語っている。これは、トッテナム・ホットスパー基金により運営され、地域のコミュニティのなかから、指導することに興味を持ち適性のある若者とともに進めていくプロジェクトである。